公的年金の概要|FP2級Wiki

公的年金の分野は大ボリューム。全体像をしっかり理解しておかないと、
この後出てくる様々な制度が細切れになって把握できなくなります。
何回も読み直して定着させていきましょう。
このページからの直接の出題率は低いです。
ただし、ページをまたいだ出題はたくさん出ます。

1.公的年金制度の全体像

日本の年金制度は3階建てです。
国民強制加入である国民年金を1階部分として、
サラリーマン、公務員が加入する厚生年金保険が2階部分。
企業年金や確定拠出年金などの私的年金が3階部分となります。
自営業などは国民年金基金が2階部分となります。

マクロ経済スライド

年金額は物価や賃金の変動に合わせて毎年見直しが行われる。
その際に現役世代の負担が過重にならないよう公平性を保つために増減の調整をするのがマクロ経済スライドです。
性格的には物価上昇よりも年金額の上昇を抑える機能がある。 キャリーオーバーなどもあり、急激に年金額が変化しないような装置も備えている。
導入しているのは国民年金、厚生年金のみで、確定拠出年金や国民年金基金などは含まれません。
付加年金なども対象外となります。

年金一元化

共済年金と厚生年金が一元化され、共済年金の3階部分であった職域部分は廃止されている。
その代わりに退職等年金給付部分が創設されている。

基礎年金番号

すべての年金で使用する共通の番号で、1人に1番号が与えられ管理されている。

1.公的年金の給付の種類

給付事由国民年金厚生年金保険
年齢が達した時老齢基礎年金
付加年金
老齢厚生年金
障害になった時障害基礎年金障害厚生年金
障害手当金
死亡発生で遺族になった時遺族基礎年金
寡婦年金
死亡一時金
遺族厚生年金

2.年金の支給期間と支給方法

年金は受給権を得ても自動的には支給されず、請求手続きが必要となる。
年金支給は後払い制で、生存していた月までの分を翌月以降に支払うこととなる。

年金の支給期間支給事由発生の翌月から、権利消滅月までの権利となる。
年金の支給期月偶数月の15日に前月までの分が支払われる。
(4月分と5月分は6月15日に支払われる。)

2.公的年金制度の被保険者

1.国民年金の被保険者

国民皆年金とされており、自営業、サラリーマン、無職者、関係なくすべての国民に公的年金の加入が義務付けられています。
また、公的年金である厚生年金加入者も基礎年金の保険料が含まれています。

厳密には国籍を必要としないので外国の方でも公的年金への加入が可能です。

第1号被保険者・日本に住んでいる20歳以上60歳未満の人で、2号3号じゃない人
・本人または世帯主が14日以内に住所地の役所、役場で加入手続する
第2号被保険者・民間会社員や公務員など厚生年金、共済の加入者
 (65歳以上の被保険者、共済組合の組合員で、
 老齢基礎・厚生年金、退職共済年金などの受給権がある人は除く)
・勤務先の事業主が5日以内に届出して加入
第3号被保険者・厚生年金、共済組合に加入している第2号被保険者に扶養されている
 20歳以上60歳未満配偶者
・第3号被保険者に該当する場合は、14日以内に事業主を通じて届出
任意加入被保険者
(第1号被保険者
と同等の扱い)
1.日本国内に住所を有する20歳以上60歳未満の厚生年金、
  共済年金などの老齢年金を受けられる人
2.20歳以上65歳未満で海外に住んでいる日本人
3.日本国内に住所を有する60歳以上65歳未満の人
4.65歳以上70歳未満の人(昭和40(1965)年4月1日以前生まれで、受給資格期間を満たせない人)

2.厚生年金保険の被保険者

適用事業所に勤める70歳未満の者は強制加入被保険者となる。短時間労働者の判断は健康保険と同じ。保険料は労使折半。

厚生年金保険の被保険者は以下の4種類

  • 第1号厚生年金被保険者:第2号第4号以外の被保険者
  • 第2号厚生年金被保険者:国家公務員共済の被保険者
  • 第3号厚生年金被保険者:地方公務員共済組合の被保険者
  • 第4号厚生年金被保険者:私立学校教職員共済制度の被保険者

法人は従業員数に関わらず強制適用事業所となり、個人事業所は常時5人以上が基準となる。

3.国民年金の保険料

1カ月当たりの保険料は16,590円で定額です(令和4年度)
2号3号はお給料から引かれているので直接納付することはありません。

  • 納付期限は翌月末日
  • 口座振替で割引が受けられる
  • 6ヶ月、1年、2年分を前納すると割引が受けられる
  • 滞納保険料の追納ができるのは納付期限から原則2年分

4.国民年金1号被保険者の保険料免除と猶予

事情があって保険料を納める事が難しい人には免除や猶予の制度があります。
免除・猶予の種類には、法定免除、申請免除、産前産後機関の免除、学生納付特例制度、納付猶予がある。
免除・猶予された保険料は、10年前までさかのぼって追納することが可能で、
産前産後期間の免除については納付済期間として取り扱われるので追納の必要はありません。

免除・猶予要件老齢基礎年金額への反映
産前産後期間の免除出産予定日または出産日が
属する月の前月から4か月間
(多胎妊娠の場合は3か月前から6か月間)
保険料納付済期間となる
付加年金を収める期間としても利用できる
法定免除(全額)障害基礎年金または
障害1級2級の障害厚生年金受給者
生活保護の生活扶助受給者
一部年金額反映
申請免除(多段階免除)
全額免除・4分の3
半額免除・4分の1
本人、配偶者および世帯主
前年の所得が所定の額以下
一部年金額反映
学生納付特例制度(全額)学生本人の前年の所得が
所定の額以下
年金額反映なし
納付猶予制度(全額)50歳未満の本人および配偶者
前年の所得が所定の額以下
年金額反映なし

保険料が猶予された期間について追納が無い場合、老齢基礎年金の受給資格期間には算入されるが、年金額には反映しない。

5.厚生年金保険の保険料

1.保険料の計算方法

現在、総報酬制といい、標準報酬月額標準賞与額に一定の保険料率をかけて保険料が算定される。
保険料率は過去に上昇を続け、現在は18.3%で固定されている(第4号については2027年度に18.3%となる)。
保険料は労使折半で負担する。
産前産後休業、育児休業等の期間は、被保険者も事業主も保険料が免除されて納付済となる。

  • 標準報酬月額は32等級に区分。原則1年間固定。(健康保険は50等級)
  • 標準賞与額は1,000未満切り捨てで年3回までの賞与支給が対象。(健康保険とは異なる)

2.産前産後休業期間中および育児休業期間中の保険料の免除

産前産後休業期間中および子が3歳に達するまでの育児休業期間中の保険料は、
事業主が申し出ることにより、被保険者負担分事業主負担分ともに納付が免除される。
保険料が免除された期間は、保険料納付済期間として扱われる。

外部リンク:厚生労働省,スタディング FP講座

それでは過去問を解いてみましょう。2020年9月試験 学科 問5

国民年金の保険料に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 第1号被保険者で障害基礎年金または障害等級1級もしくは2級の障害厚生年金を受給している者は、原則として、所定の届出により、保険料の納付が免除される。
  2. 第1号被保険者が出産する場合、所定の届出により、出産予定月の前月から4ヵ月間(多胎妊娠の場合は出産予定月の3ヵ月前から6ヵ月間)、保険料の納付が免除される。
  3. 第1号被保険者である大学生は、本人の所得金額の多寡にかかわらず、所定の申請により、学生納付特例制度の適用を受けることができる。
  4. 学生を除く50歳未満の第1号被保険者は、本人および配偶者の前年の所得(1月から6月までの月分の保険料については前々年の所得)がそれぞれ一定金額以下の場合、所定の申請により、保険料納付猶予制度の適用を受けることができる。

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解答

助手のウィキ子

たとえ学生さんでも本人の所得が関係します。