老齢給付(厚生年金保険)|FP2級Wiki

65歳未満に支給される特別支給の仕組みが細かくて厄介です。
もう少しすれば対象者がみんな受け取り始めるので覚える必要はなくなりますが、
現時点では出題される可能性がありますので覚えるしかありません。
しっかり押さえて、65歳以降の部分に取り掛かりましょう。

1.老齢厚生年金の支給開始年齢

厚生年金の被保険者期間があれば、原則として65歳になると、
老齢基礎年金に上乗せして老齢厚生年金が支給される。

その昔、年金の受取は60歳からであったため、65歳に緩やかに移行するために特別支給が存在する。
生年月日が該当する者は60~64歳の間に支給開始となる。
特別支給は年齢が段階的に引き上げられ最終的に廃止される。

2.老齢厚生年金の受給要件

特別支給の老齢厚生年金・老齢基礎年金の受給資格を満たしていること
1年以上被保険者期間があること
・生年月日で受給開始年齢が異なる
(以下の表のとおり)日本年金機構より
老齢厚生年金・老齢基礎年金の受給資格を満たしていること
65歳以上であること
1ヶ月以上被保険者期間があること
特別支給の老齢厚生年金は特別なものなので最終的に無くなる

3.特別支給の老齢厚生年金の支給開始年齢の引き上げ

特別支給の老齢厚生年金は、さらに報酬比例部分と定額部分に分かれる。
また、男性と女性で対象の生年月日が変わる点にも注意が必要。

1.特別支給の開始年齢

厚生年金の表

男性は昭和36年、女性は昭和41年。ここで特別支給が廃止になる事だけでも覚えておきましょう。

2.長期加入者の特例

44年以上(※1)、厚生年金保険に加入している者が報酬比例部分の受給年齢に達した際に、
退職などで加入被保険者でなくなれば、いっしょに定額部分も受け取れる特例です。

この場合、被保険者でなくなった月の翌月分から定額部分を受け取ることができます。

  • 報酬比例部分のみの特別支給の老齢厚生年金の受給権者であること
  • 厚生年金保険の被保険者でないこと(つまり退職していること)
  • 厚生年金の被保険者期間が44年以上であること

4.加給年金額

加給年金は65歳になったときに自分に養う者がいると加算されるものです。

細かい条件は以下のとおり

  • 厚生年金の被保険者期間が20年以上あること
  • 定額部分の支給がある人はその年齢から加算。 他は65歳から加算。
  • 受給権が発生した時点で以下の条件に当てはまる者がいること。
配偶者65歳未満であること(65歳になると自分の年金が始まるから)
・配偶者自身に20年以上加入の厚生年金の受給権が発生していないこと。あるいは障害年金。
・18歳の年度までの子
・20歳未満の障害1~2級の子
生計維持将来5年以上にわたって年収850万円以上にならないこと
ちなみに金額は遺族年金の加算額と基本的に同額の設定で、配偶者には年齢に応じて特別加算がつきます。

振替加算

加給年金額の対象となっていた配偶者が65歳になって自身が基礎年金をもらえるようになったとき、
加給年金は支給停止となり、振替加算が配偶者の基礎年金に加算される。
1966年(S41)4月2日以降生まれの者には支給されない。

5.特別支給の老齢厚生年金(60~64歳)

老齢厚生年金は報酬比例部分、定額部分、経過的加算、加給年金などで構成される。
特別支給の報酬比例や定額部分は報酬比例部分と老齢基礎年金に移行する事となります。

1.定額部分の額(2021年度(令和3年度)価額)

定額部分は上記の表のオレンジの部分で、基礎年金部分を先に受け取れる方のみです。

〇〇〇〇円×被保険者の月数(昭和21年度生以降は480月上限)=定額部分
(〇〇〇〇円の部分は毎年見直される)

2.報酬比例部分の額

在職中の給料に比例して計算される。
途中で制度が変わったために、平均標準報酬月額と平均標準報酬額に分かれる。
それぞれある場合は合計する事となる。

  • 平均標準報酬月額(2003年3月以前の標準報酬月額に再評価率を掛けて平均したもの)

計算式:2003年3月以前の月数×(7.125/1,000)×平均標準報酬月額=報酬比例部分①

  • 平均標準報酬額(2003年4月以後の標準報酬月額と標準賞与額に再評価率を掛けた総額を被保険者期間の月数で割ったもの)

計算式:2003年4月以後の月数×(5.481/1000)×平均標準報酬額=報酬比例部分②

3.加給年金額

金額は遺族年金の加算額と同額の設定ですが、配偶者には年齢に応じて配偶者特別加算額がつきます。

6.老齢厚生年金(65歳以後)

1.経過的加算

経過的加算額とは、定額部分相当額と老齢基礎年金相当額との差額を埋める年金。
上記の表の定額部分の受給者が、65歳になり基礎年金に移行した際に、その差額を補うのが本来の目的となります。

「経過的」という名目上、定額部分の受給者が無くなるころには消滅するべきと思うのですが、いまのところ存続しています。
そのため、20~60歳間の国民年金の加入期間が480月より少ない人が、 60歳以後も雇用を継続することでその差額を埋めることが可能になっています。

〇〇〇円×被保険者の月数(480月上限)-基礎年金満額×(20~60歳未満の厚生年金の被保険者期間の月数÷480月)=経過的加算額

(〇〇〇円の部分は毎年見直される)

2.老齢厚生年金(報酬比例部分)

特別支給の老齢厚生年金の2.報酬比例部分の額と同様です。

3.加給年金額

金額は遺族年金の加算額と同額の設定ですが、配偶者には年齢に応じて配偶者特別加算額がつきます。

7.老齢厚生年金の繰上げ支給

老齢厚生年金も老齢基礎年金と同様の仕組みで繰上げできる。

  • 繰上げは最大5年で月単位で希望できる。
  • 繰上げ支給は1ヶ月あたり0.4%減額される。

つまり年金受給年額が1年あたり4.8%。最大5年で24%が減額されることになる。
(2022年4月1日から減額率が変更されています)

繰上げの主な注意点

  • 請求の取消・変更ができません
  • 同時に老齢基礎年金も繰り上がります
  • 加給年金がいっしょに繰り上がることはありません

特別支給(報酬比例部分)の年金を持っている方の場合は、
仮に支給開始年齢が62歳だったとすると、
60歳に繰り上げた場合は2年分の9.6%が減額となる。
ただし、同時に老齢基礎年金も繰り上げられるのがルールなので、
基礎年金は5年分の24%減額という計算になる。

8.老齢厚生年金の繰下げ支給

老齢厚生年金も老齢基礎年金と同様の仕組みで繰下げできる。

老齢厚生年金の受給権を取得(年金をしっかり納めた)人が、
受給権取得から1年経つ前にまだ請求していないときは繰下げ支給の申出ができる。

  • 繰下げは最大10年で月単位で希望できる。
  • 繰下げ支給は1ヶ月あたり0.7%増額できる。

つまり年金受給年額が1年あたり8.4%。最大5年で84%が増額されることになる。
(2022年4月1日以降に70歳になる人からを対象に、最大10年に延長されました)

繰下げの主な注意点
  • 加給年金については増額されない
  • 障害厚生年金や遺族厚生年金は繰下げできない
  • 特別支給の年金は増額されない
  • 在職老齢年金で支給調整(減らされてる)されている人は、停止部分は増額に反映されない
  • 老齢基礎年金と老齢厚生年金の繰下げは、別々に行うことが可能である

※繰上げは1階2階部分同時がマストだが、繰下げはバラバラというところに注意です!!

9.在職老齢年金

老齢厚生年金には、60歳以後も働きながら年金を受け取るという在職老齢年金制度があります。
(令和4年4月に改正がありました(60歳と65歳の区切りがなくなる等)ので注意。)

老齢厚生年金(特別支給も含む)の受給権を取得した者が、厚生年金の被保険者として勤務する場合、
総報酬月額相当額(後述)と、本来受け取ることができる年金額(基本月額)によって、
老齢厚生年金の一部や全部が支給停止になる場合がある。

※勉強してると基礎年金とごっちゃになったりしますが、この話は厚生年金のお話なので混同しないようにしましょう。

在職老齢年金の計算

在職老齢年金が適用されない場合(満額支給)

総報酬月額相当額+基本月額≦47万円

  • 総報酬月額とは、その月の標準報酬月額+その月以前1年間の標準賞与の12分の1
  • 基本月額とは、加給年金等を除く老齢厚生年金の月額

47万円を超えてしまった場合

支給停止額(月額)=(総報酬月額相当額+基本月額-47万円)×1/2

つまり、合計金額47万円をオーバーした部分の年金の、半分が支給停止となるということ。

老齢基礎年金と経過的加算は減額されない加給年金額については、本体部分が一部でも支給されさえすれば全額支給される。

※70歳以上は厚生年金の被保険者からは外れるのですが、支給停止は適用されます。

10.離婚時における厚生年金の合意分割制度

離婚したときには厚生年金を夫婦でひとつのものとして考え、分割する制度があります。

合意分割

離婚をした場合、婚姻をしていた期間の被保険者期間について、当事者からの請求により報酬額が改定される。

対象期間

婚姻期間中の保険料納付記録

分割方法

  • 婚姻期間中の厚生年金保険の報酬額が多い人から少ない人へ分割する
  • 当事者の合意が必要

分割割合

  • 分割後の割合の上限は2分の1が限度
  • 合意が得られないときは裁判で割合を決定

手続き方法

当事者の一方からの請求。請求期限は離婚から原則2年

分割された標準報酬について

離婚時みなし被保険者期間(自身の受給資格期間や加給年金の要件期間、特別支給の要件期間には算入されない)

3号分割制度

離婚をした場合、被扶養配偶者からの請求により3号分割が請求できる(相手から年金が奪える)。

対象期間

婚姻期間のうち2008年4月1日以後の第3号被保険者期間のみを対象とする

分割方法

  • 第2号被保険者だった人から第3号被保険者だった人に対して分割
  • 合意は必要ない

分割割合

2分の1固定

手続き方法

第3号被保険者だった人からの請求。請求期限は離婚から原則2年

外部リンク:日本年金機構,スタディング FP講座

それでは過去問を解いてみましょう。2021年5月試験 学科 問7(修正済)

公的年金の老齢給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 国民年金の保険料免除期間は、老齢基礎年金の受給資格期間(10年)には算入されない。
  2. 老齢厚生年金の受給権者が老齢厚生年金の繰下げ支給の申出をする場合、老齢基礎年金の繰下げ支給の申出を同時に行わなければならない。
  3. 60歳以上の厚生年金保険の被保険者に支給される老齢厚生年金は、在職老齢年金の仕組みにより、当該被保険者の総報酬月額相当額と基本月額の合計額が47万円を超える場合、経過的加算部分等を除いた年金額の全部または一部が支給停止となる。
  4. 老齢厚生年金の加給年金額対象者である配偶者が、厚生年金保険の被保険者期間が10年以上である特別支給の老齢厚生年金の受給権を取得したときは、当該配偶者に係る加給年金額は支給停止となる。

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解答