法定相続分、代襲相続、特別受益、そして相続放棄がポイントになります。特に相続放棄は代襲しない。これは1級でも大事です。
それと理解の上で税法上と民法上をしっかり分けられるようにしてください。それだけで解答ミスが減るハズです。

1.親族等に係る民法の規定

1.親族とは

民法上の親族とは、6親等内の血族、配偶者、3親等内の姻族(婚姻関係による親族)をいう。直系血族および兄弟姉妹は互いに扶養する義務があるが、家庭裁判所は特別の事情があるときは、3親等内の親族間においても扶養の義務を負わせることができる。夫婦の一方が死亡しても、生存配偶者と死亡した者の血族との姻族関係は原則として継続する。

2.養子縁組

養子縁組には普通養子と特別養子縁組がある。

普通養子縁組特別養子縁組
養親の制限成人していること(独身でもよい)一方が25歳以上、もう一方は20歳以上の夫婦
養子の制限養親より年少であること原則15歳未満(場合により18歳未満)
手続き当事者届出。
後見人が被後見人を養子にする場合、
未成年者を養子とする場合は家庭裁判所の許可が必要。
原則養子となる子の実父母の同意が必要。
家庭裁判所の審判も必要。
親子の関係実親との親族関係は継続する(相続権が残る)
普通養子の相続権は代襲されない
実親の親族関係が終了する(実親の相続権を失う)

2.相続

相続とは、人の死亡により、その死亡した者(被相続人)の所有していたすべての財産(相続財産)を相続人に承継することを言う。

1.相続人

民法上、被相続人の相続財産を引き継ぐことができる一定範囲内の人の事を相続人と呼ぶ。被相続人に配偶者がいる場合、
その配偶者必ず相続人になり、配偶者以下、血族関係者は次の優先順位に従って相続人となる。

  • 第一順位:
  • 第二順位:直系尊属(父母(いなければ祖父母))
  • 第三順位:兄弟姉妹

※第一順位は実子・養子・嫡出子・非嫡出子に優先順位の差はない
※相続開始時の胎児も子として相続人になる(死産はのぞく)
※第二順位は同順位なのに優先順位がある(祖父母よりも父母優先)
※兄弟姉妹には遺留分は認められていない(06.遺言・遺留分にて)

2.相続人となれない人

次のいずれかに該当する者は相続人にはなれません。

  • 被相続人の相続開始前に死亡した人
  • 相続人の欠格事由に該当する人
  • 推定相続人から廃除された人
  • 相続の放棄をした人

欠格

欠格とは、相続人となるべき者が被相続人を殺害したり、詐欺や強迫で遺言書を書かせている場合などに資格を失うこと。

廃除

廃除とは、相続人となるべき者が被相続人を虐待したり侮辱するなど、著しい非行があった場合に被相続人が家庭裁判所に申し立てて相続権を失わせるもの。

3.相続分

相続人が複数いるならば分けなければならない。それぞれが相続する分を相続分と言う。

1.法定相続分

相続人が複数いる場合に遺言等で相続分の指定がないときは民法で定められた相続分で分ける(絶対ではない。話し合いで変えてもいい)。
これを法定相続分という。 ちなみに遺言で指定したり第三者に委託する場合は指定相続分と言い、そちらが優先される。

配偶者がいる場合

相続人法定相続分
配偶者と子(養子含む)配偶者 2分の1
子   2分の1
配偶者と直系尊属(養父母含む)配偶者 3分の2
直系尊属3分の1
配偶者と兄弟姉妹配偶者 4分の3
兄弟姉妹4分の1

配偶者がいない場合

相続人法定相続分
子(養子含む)全部
直系尊属全部
兄弟姉妹全部

注1)同一順位の相続人が複数いるときは各人の相続分は均等
注2)父母の一方を同じくする兄弟姉妹(異母や異父兄弟)の相続分は父母の双方を同じくする兄弟姉妹の2分の1となる
注3)相続人の地位が重複した場合、法定相続分を合算する

2.代襲相続

1.代襲相続人

相続開始時において、本来相続人となるべきものがすでに死亡している場合、または欠格廃除で相続権を失っている場合は、その者の子が相続人(代襲相続人)となる。
配偶者や親に対しては代襲相続は発生しない。また、相続放棄については代襲相続は適用されない

2.代襲相続分

代襲相続人の相続分は本来の相続人となるべき者と同じ。
代襲相続人が複数人いる場合(1人の欠格に対して2人の代襲)は均等按分する。

3.特別受益

民法上、各相続人間の取り分(持分)に不公平が出ないようにするための民法の制度。
被相続人が生前に相続人への贈与があった場合、それを相続分の前渡しと見て特別受益者とし、その贈与分を相続財産に加算(持戻し)して相続分を計算する(みなし相続財産)。その、「相続分の前渡しの贈与」を特別受益と言う。

このみなし相続財産を基礎として各相続人の相続分を算出する。

[寄り道]税法上と民法上の違い

相続税法上の「生前の贈与財産」については相続開始前3年以内が財産に含まれるとされているが、
民法上は制限がないため、極端な話20年前の贈与でもみなし相続財産として被相続人の財産の総額に加算される。

なにかと出てくる「税法上」と「民法上」。F分野相続事業承継ではここの違いにつまづきやすいです。

税法上というのは税額を決めるためのもので、民法上は権利を決めるためのもの。

民法上の特別受益というのは、相続人間で受取額を公平に割り振るための総額を求めるものです。
相続での税法上と出たら、相続税総額を求めるため。民法上と出たら受取額を公平に割り振るためと覚えましょう。

4.持戻し免除

1.特別受益の持戻し免除

被相続人が生前に持戻しを希望しない意思表示をした場合の持戻し免除がある。

2.特別受益の持戻し免除の意思表示推定規制

20年以上婚姻関係にある配偶者がその居住用の建物や敷地を遺贈や贈与した場合、持戻し免除の意思があったと推定し、遺産分割時にその不動産の持戻し計算を不要とする。

5.寄与分

共同相続人の中に相続財産を維持・増加するために特別に寄与した者(寄与分権利者)がいる場合、不公平にならないようにその分を寄与した者に多く受け取れるようにする制度。
寄与分を相続財産から一度控除してから相続分を計算。そのあと、寄与した者に寄与分を加えてその者の相続分とする。

6.特別の寄与

相続人以外の親族(実子の嫁など)に限り、無償で療養看護や労務の提供を行った場合は、相続人に対して支払いを請求することができる。

4.相続の承認・放棄

相続人は限定承認か相続放棄をする場合は、相続の開始があったことをした時から3ヵ月以内に決めなければいけません。 いずれも生前の意思表示は無効となります。

単純承認

被相続人の積極的財産や消極的財産のすべての財産を無条件で相続すること。

  • 積極的財産とは経済的に価値のある財産(プラスの財産)のこと。土地や建物、現金預金貴金属など様々です。
  • 消極的財産とは、債務全般です。ローンや買掛金などのマイナスの財産。

限定承認

限定承認とは、積極財産の範囲内で消極財産である負債を支払い、積極財産を超える消極財産は引き受けない相続の方法。 
手続きの方法は、相続を知った時から3か月以内に相続人全員(放棄者を除く)が家庭裁判所へ申述する。
限定承認の意思表示をすると原則撤回できない

相続放棄

相続放棄は、放棄者は初めから相続人でなかったものとされる。 そのため、相続放棄者の代襲はない。
(欠格や廃除の場合は代襲が存在する)
同順位の共同相続人がいる場合は他の相続人の相続分が増加し、同順位不在の場合は次の順位に移る。
手続きの方法は、相続を知った時から3か月以内に家庭裁判所に申述する。放棄は単独で申述できる。
放棄の意思表示をすると原則撤回できない

外部リンク:国税庁,スタディング FP講座

それでは過去問を解いてみましょう。2020年1月試験 学科 問55

民法上の相続分に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 相続人が被相続人の配偶者、長男および長女の合計3人である場合、配偶者、長男および長女の法定相続分はそれぞれ3分の1である。
  2. 相続人が被相続人の配偶者および父の合計2人である場合、配偶者の法定相続分は4分の3、父の法定相続分は4分の1である。
  3. 相続人が被相続人の配偶者および兄の合計2人である場合、配偶者の法定相続分は3分の2、兄の法定相続分は3分の1である。
  4. 相続人が被相続人の長男および孫(相続開始時においてすでに死亡している長女の代襲相続人)の合計2人である場合、長男および孫の法定相続分はそれぞれ2分の1である。

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解答

Wiki技能士

代襲相続人だからといって法定相続分が減らされることはありません。