相続税の計算|FP2級Wiki

相続税の計算において、基礎控除の3000万円+600万円×法定相続人の数は絶対暗記案件です。
そこから初めて、総額計算ができるように頑張っていきましょう。

       

1.課税価格の合計額の算出

課税価格の合計額の算出には、各人の課税価格の算出から始まります。

最初に各人単位で総遺産の中から相続や遺贈で取得した相続財産とみなし相続財産を合計
次にそこから非課税財産、被相続人の債務と葬式費用を差し引きます
そして相続開始前3年以内に暦年贈与財産や相続時精算課税制度による生前贈与財産があればその贈与財産を加算します。
これを課税価格といい、各人の課税価格を合計したものを課税価格の合計額と言います。

2.課税遺産総額の算出

前項で導き出した課税価格の合計額から遺産に係る基礎控除額を差し引きます。

遺産に係る基礎控除額=3,000万円+600万円×法定相続人の数

課税価格の合計額-遺産に係る基礎控除額=課税遺産総額

法定相続人

配偶者&先順位の者となります。

配偶者(いれば)+
第一順位:
第二順位:直系尊属(父母(いなければ祖父母))
第三順位:兄弟姉妹

相続放棄をした者も含めて数える。
また、養子がいる場合、被相続人に実子がある場合は1人まで、実子がない場合は2人まで数に入れる。

       

3.相続税の総額の算出

相続税の計算をするには、課税遺産総額を法定相続人が法定相続分どおりに取得したものと仮定して各取得金額を計算し、それぞれ税率を乗じて計算する。

課税遺産総額×各々の法定相続割合=各々の取得金額

各々の取得金額×税率-控除額=各々の相続税の金額

最後に、各々の相続税の金額を合計して相続税の総額が算出される。

法定相続分に応ずる取得金額税率控除額
1,000万円以下10%なし
3,000万円以下15%50万円
5,000万円以下20%200万円
1億円以下30%700万円
2億円以下40%1,700万円
3億円以下45%2,700万円
6億円以下50%4,200万円
6億円超55%7,200万円
表は与えられるハズなので覚えなくていいと思います。
       

4.各人の納付税額の算出

相続税の総額を、実際の財産取得割合に応じて按分して各人の算出税額を計算し
(例えばAさんの取得財産の割合が全体の28%だったなら、相続税総額×28%)、
そのあとに各人ごとに一定の加算または控除の調整を行い、各人の納付税額を計算する。

1.相続税の2割加算

相続財産を取得した者が1親等の血族(代襲含む)および配偶者以外の者は相続税額に2割加算する。孫養子も2割加算となる。
でも代襲の孫は加算対象外。

2.贈与税額控除

暦年課税時の贈与税額

相続開始前7年以内に贈与を受けている場合、相続の課税価格に加算される。その場合、その者の相続税額から贈与時に支払った贈与税額が控除される。ただし、4~7年前の4年間に贈与により取得した財産の価額については、総額100万円まで加算されない。(令和6年1月1日以後の贈与から適用)
暦年課税は相続時精算課税制度とは違い、控除しきれない額は還付されない。

相続時精算課税分の贈与税額

制度を利用し生前贈与された財産について課された贈与税額がある場合、その税額を控除できる。
個人の納付税額を計算する問題の場合に最後引くことができます。過去に納めてる分なのですから当然といえば当然ですね。
相続時精算課税制度の場合はさらに控除しきれない分は還付される

       

3.配偶者に対する相続税額の軽減

被相続人の配偶者が取得した財産が、次の金額のどちらか多い金額までは配偶者に相続税はかからないという制度です。
本制度適用には申告が必要です。

  • 1億6千万円
  • 配偶者の法定相続分相当額

注)内縁の妻は含まれない

未分割の財産は対象外になるが、申告期限3年以内に分割&更正の請求をすれば大丈夫。

4.未成年者控除

財産を取得した者が、居住無制限納税義務者か非居住無制限納税義務者の法定相続人で、かつ未成年である場合、未成年者控除が適用されます。

未成年者控除額=(成人年齢-相続開始時年齢)×10万円
※1歳未満の端数は切り捨てる

この場合で、控除額が納付相続税額を超える場合には、その者の扶養義務者の相続税から差し引くことができる。
控除を受ける未成年者が2割加算対象者だった場合、先に2割加算をして、そのあと控除を行う。

5.障害者控除

財産を取得した者が、居住無制限納税義務者である法定相続人の場合で、かつ障害者である場合に障害者控除が適用されます。

障害者控除額=(85歳-相続開始時年齢)×10万円(特別障害者は20万円)
※1歳未満の端数は切り捨てる

この場合で、控除額が納付相続税額を超える場合には、その者の扶養義務者の相続税から差し引くことができる。

外部リンク:国税庁No.4152(相続税の計算),スタディング FP講座

       

それでは例題を解いてみましょう。2019年1月試験 学科 問57ベース

相続税の計算に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等は満たしているものとする。

  1. すでに死亡している被相続人の子を代襲して相続人となった被相続人の孫は、相続税額の2割加算の対象となる。
  2. 相続人が被相続人から相続開始前3年以内に贈与を受け、相続税の課税価格に加算された贈与財産について納付していた贈与税額は、その者の相続税額から控除することができる。
  3. 相続人が未成年者の場合、その者の相続税額から控除される未成年者控除額は、原則として、その者が成人に達するまでの年数(年数に1年未満の期間があるときは切上げ)に10万円を乗じた金額である。
  4. 相続開始時の相続人が被相続人の配偶者のみで、その配偶者がすべての遺産を取得した場合、「配偶者に対する相続税額の軽減」の適用を受ければ、相続により取得した財産額の多寡にかかわらず、配偶者が納付すべき相続税額は生じない。

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解答

Wiki技能士

1親等の血族(代襲含む)および配偶者以外の者が対象なので、加算されません。
相続税の計算は、FP試験では難関です。しっかり勉強しましょう。

相続税の計算について詳しく学びたい方はFP1級Wikiもチェック!応用編対策:相続税の総額計算へリンク