不動産登記|FP2級Wiki
どの権利が登記簿のどこに載るのか。登記と仮登記の違いとは。そのあたりを重点的にしっかり覚えましょう。
1.不動産登記記録の構成
不動産登記は不動産の現況や変動を記録する制度で、土地は1筆ごと、建物は1個ごとに作成される。
登記された内容はコンピュータ化されて登記所(法務局)に備えられている。
登記記録は登記事項証明書等により確認できる。
表題部 (登記義務あり) | 土地・建物に関する物理的状況を表示した表示登記が記載されている部分のこと。 土地:登記原因と日付、所在、地番、地目、地積など 建物:登記原因と日付、所在、家屋番号、種類、構造、床面積など 表題登記は建物完成後1カ月以内にしないと過料が課せられる。 |
権利部 (登記義務なし) | 権利に関する状況を記載した部分のこと。甲区と乙区に分かれる。 甲区:所有権に関する事項(差押え、買い戻し特約を含む) 乙区:所有権以外の権利に関する事項(抵当権、地上権、配偶者居住権)などがある。 |
- 土地登記の地番、建物登記の家屋番号は、必ずしも住居表示と一致しない。
- 抵当権では、債権額や抵当権者の氏名または名称などが記載される
建物の床面積の表示は以下のとおりになる。
区分所有建物以外の建物(一軒家など) | 壁その他の区画の中心線で囲まれた部分の水平投影面積をいう(壁芯面積) |
区分所有建物(マンションなど) | 壁その他の区画の内側線で囲まれた部分の水平投影面積をいう(内法面積) |
2.登記の効力
不動産登記の主な効力は、対抗力(第三者対抗要件)は認められているが、公信力(公的な信用性)は認められていない。
対抗力
原則、登記をすることで、権利を第三者に対応できる。仮登記だけでは対抗できない(順位保全)。
例外として以下の権利は登記せずとも対抗力を持つ。
- 借地権:借地上の建物を登記すれば、土地の登記記録に貸借権の登記が無くても借地権を第三者に対抗できる。
- 借家権:建物の引き渡しを受けていれば、建物の登記記録が無くても借家権を第三者に対抗できる。
公信力
登記には公信力はなく、事実の権利を反映していない登記を信用し、登記記録上の無権利者と取引した者は、法的に保護されない。
仮登記とは
仮登記は、なんらかの理由があり、本登記ができないときに、将来の本登記のために順位を保全しておくもの。仮登記は順位保全の効力のみで対抗力は与えられていない。
3.不動産登記の調査
だれでも、手数料を納付して、登記所において登記事項証明書や登記事項要約書の交付を受けることができる。
登記事項証明書
登記記録に記録されている事項の全部または一部を証明したもので、登記官による認証文が記載されている。
窓口請求だけでなく郵送やオンライン請求ができる。
受領は窓口または郵送に限られる。
登記事項要約書
現在の所有者、登記記録の概要のみが記載され、認証文等の証明部分は一切ない。登記事項要約書の請求は窓口に限られる。
4.不動産登記以外の調査資料
設置場所 | 内容 | |
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公図 (精度は低い) | 登記所 | 旧土地台帳の付属地図で地面に準ずる図面として 土地の位置、形状、地番を表示している。古いので精度が低い。 |
不動産登記法 14条地図 (精度は高い) | 登記所 | 土地の境界線を正確に示しており、 この地図により土地の境界を復元することもできる。 ただし、現在進行中のため、設置されてない土地も多い。 |
地積測量図 (精度は高い) | 登記所 | 土地の表題登記や分筆登記申請時に提出される図面だが、 すべての土地について存在するものではない。 |
都市計画図 | 市町村役場 | 用途地域、建蔽率、容積率、市街化区域・市街化調整区域の区別、 都市計画で定められた道路・公園等の都市計画施設等が表示されている。 |
固定資産 課税台帳 | 市町村役場 など | 土地・建物の所有者、所在地、固定資産税評価額等を、 所有者(代理人)、借地人、借家人のみ閲覧できる。 |
外部リンク:国土交通省,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。2020年9月試験 学科 問41
不動産の登記や調査に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 不動産の登記記録において、土地の所有者とその土地上の建物の所有者が異なる場合は、その土地の登記記録に借地権設定の登記がなくても、借地権が設定されていることがある。
- 公図(旧土地台帳附属地図)は、登記所に備え付けられており、対象とする土地の位置関係等を確認する資料として有用である。
- 登記の目的が抵当権の設定である場合、不動産の登記記録の権利部乙区に、債権額や抵当権者の氏名または名称などが記載される。
- 不動産登記には公信力があるため、登記記録を確認し、その登記記録の内容が真実であると信じて取引した場合には、その登記記録の内容が真実と異なっていても法的な保護を受けることができる。
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解答
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不動産登記に公信力がないのは基本です。この手の問題は確実に獲ってね!