所得控除①(物的控除)|FP2級Wiki

所得控除は15種類もある。この項目ではその中の物的控除について学習する。
物的控除の中で、雑損控除、医療費控除、寄付金控除の3つに限っては年末調整ができず、確定申告が必要になります。
実生活でも役に立つ知識なので、自分に置き換えて勉強すると頭に入りやすいと思います!

       

1.所得控除の種類

所得金額から所得控除を差し引いて課税所得金額を算出し、これに税率を乗じて税額を求める。所得控除は15種類

1.所得控除の分類と種類

所得控除全15種類の紹介

物的控除

雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄付金控除

人的控除

配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、障害者控除、ひとり親控除、寡婦控除、勤労学生控除、基礎控除

2.所得控除の順序

  1. 原則として総所得金額から控除する。引ききれない分は一定の順序に従い分離課税の所得金額から控除する。
  2. 雑損控除がある場合は、まず雑損控除から控除する。
       

2.雑損控除

雑損控除は、本人や生計を一にしている配偶者、その他の親族(総所得48万以下)が有する住宅(別荘は×)・家財・現金などの生活に通常必要な資産災害盗難横領(詐欺は×)による被害について、確定申告をすることで控除される。

計算方法

①と②のいずれか多いほうの金額を雑損控除にできます。

①雑損失の額-(総所得金額等の合計額×10%)

②災害関連支出-5万円

雑損失の繰越控除

雑損控除の額がその年分の所得金額から控除しきれない場合には、青色申告者、白色申告者ともに、控除しきれない雑損失の額を翌年以後3年間に繰り越すことができる。
       

3.医療費控除

通常の医療費控除セルフメディケーション税制選択式となっている。

1.医療費控除

本人や生計を一にしているその配偶者、その他の親族(所得制限なし)の医療費を支払った場合には確定申告をすることで控除される。
ちなみに年末に治療を受け、翌年に支払った場合は翌年の控除の対象になる。

対象となるもの

  • 医師または歯科医師による診療・治療の対価
  • 治療・療養のために必要な医薬品の購入費
  • 通院費(電車代バス代、緊急時のタクシー代)
  • 食事代
  • 松葉杖、義歯の購入費
  • 人間ドック(検診で疾病が発見され治療した場合)
  • 看護師等による療養上の世話
  • 出産費用

対象とならないもの

  • 医師または看護師に対する謝礼金
  • 未払医療費
  • 自家用車のガソリン代や駐車料金
  • 差額ベッドの料金
  • 美容整形費
  • 人間ドック(異常なしの場合)
  • 疾病予防費用、健康増進費用
       

2.セルフメディケーション税制(医療費控除の特例)

2026年12月31日までの間(5年延長措置中)に、本人または本人と生計を一にする配偶者、その他の親族に係る特定一般用医薬品等(スイッチOTC医薬品など)購入費を支払った場合において、本人が健康の保持増進および疾病の予防への一定の取り組み※を行っているときには、医療費控除について、選択により以下の金額を控除することができる。

※一定の取り組みには、予防接種、定期健康診断、がん検診等がある。生計を一にする配偶者や親族が取り組む必要はない。
※特定一般用医薬品等(スイッチOTC医薬品など)とは主に、過去に処方箋薬だったもので現在市販薬として購入できるものです。
とはいえ、最近は非OTC医薬品も一部加わり、パブ〇ンとかア〇ナミンとかエアーサ〇ンパスとか日常的なものが多いです。

医療費控除額(最高8万8,000円)=特定一般用医薬品等購入費-保険金等で補填される金額-12,000円 

医療費控除の提出書類の簡略化

医療費控除またはセルフメディケーション税制の適用を受ける場合には、領収書に代えて、確定申告書に医療費控除の明細書を添付しなくてはならない。この場合、税務署は申告期限から5年間、医療費の領収書の提示または提出を求めることができる。

       

4.社会保険料控除

本人や生計を一にしている配偶者、その他親族が負担することになっている健康保険・厚生年金保険・雇用保険・国民健康保険・国民年金等の保険料を支払った場合には、その全額が控除される。

5.小規模企業共済等掛金控除

本人が小規模企業共済の掛金や確定拠出年金の掛金などを支払った場合にはその全額が控除できる。家族の分はできない

6.生命保険料控除・地震保険料控除

B分野「05.生命保険料控除」で学習してください

7.寄付金控除

寄付金控除は、特定寄付金を支出した場合に確定申告することで認められる控除。

寄付金控除額=(特定寄付金の額または総所得金額合計×40%低いほう)-2,000円

外部リンク:国税庁,スタディング FP講座

       

それでは過去問を解いてみましょう。2019年5月試験 学科 問34

所得税における医療費控除に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。なお、「特定一般用医薬品等購入費を支払った場合の医療費控除の特例」は考慮しないものとする。

  1. 医療費控除の控除額は、その年中に支払った医療費の合計額(保険金等により補てんされる部分の金額を除く)から、その年分の総所得金額等の5%相当額または10万円のいずれか低い方の金額を控除して算出され、最高200万円である。
  2. 医師等による診療等を受けるために自家用車を利用した場合、その際に支払った駐車場代は、医療費控除の対象となる。
  3. 風邪の治療のための医薬品の購入費は、医師の処方がない場合においても、医療費控除の対象となる。
  4. 健康診断により重大な疾病が発見され、かつ、当該診断に引き続きその疾病の治療をした場合の健康診断の費用は、医療費控除の対象となる。

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解答

助手のウィキ子

これは余裕の問題ですね。公共機関で通うようにしましょう。