生命保険商品・第三分野の保険|FP2級Wiki
生命保険商品とその特約や第三分野保険のさまざまな商品性を学びましょう。
1.主な生命保険商品
1.終身保険
死亡保障が一生涯続く保険。
生涯の最低保障、残された配偶者のための生活保障、相続対策に利用される。
また解約返戻金は期間の経過で増えていくため、貯蓄にも利用される。
低解約返戻金型終身保険
保険料払込期間満了までの解約返戻金率をおおむね7割と低く設定した終身保険。その分保険料を安く設定できる。
無選択型終身保険
告知または医師の診査が不要で加入できるが割高。死亡保険金は少なく、一定期間後は既払保険料が支払われる。
積立利率変動型終身保険
積立利率の変動により積立額の増加率が変わる保険。金利下落でも積立利率には最低保証がある。保険料については変わらない。
利率変動型積立終身保険(アカウント保険)
- 保険料が積立部分(アカウント部分)と保障部分に分かれている。
- 積立部分の利率は変動するが最低保証がある。
- 積立部分については途中で引き出すことや一時金で増額することも可能。
- 所定の範囲内で積立部分から保険料に充当したり、保険料を増加させずに保障を変更することもできる。
外貨建終身保険
外貨で保険料を払い、外貨で保険金を受け取る。円換算特約をつければ円で受け取れるが、為替変動リスクがある。他に養老保険や年金保険もある。
2.定期保険
一定期間内に被保険者が死亡・高度障害となった場合に保険金が支払われる。基本掛捨てで満期金などもないため、保険料は低額だが貯蓄性はない。
平準定期保険
いわゆる10年定期保険などがこれにあたる。低価格で死亡や高度障害に備えられる。解約返戻金はない。あってもすごく少ない。終了後に継続したい場合はその時の年齢で保険料が再計算される。ただし、長期平準定期保険では性格が大きく変わる。
長期平準定期保険
主として経営者向けに利用される商品。掛金が平準定期のように抑えられ、期間が長く終身保険のような長期保証が得られる。途中解約返戻金もあり、返戻金のピークを上手に使えば節税対策にも使える。経営者に万一があったときや、会社の危機の時の資金対策に有効な商品。途中までは貯蓄性が高いので教育資金作りにも活用される。最終的に返戻金はゼロになる。
逓減定期保険
加入後、期間の経過に合わせて補償額が下がっていく定期保険。保険料は変わらない。補償額が下がるので基本的に平準定期保険より保険料を抑えられる。解約返戻金はない。あってもすごく少ない。終了後に継続したい場合はその時の年齢で再計算される。ライフプランに合わせやすく、遺族保障に活用される。
逓増定期保険
逓減定期と反対で、期間の経過で保障額が逓増していく保険。法人契約の経営者向け。一般的には初期の5倍までを限度に逓増する。契約前半に解約返戻金も発生するので資金対策にも活用される。
生存給付金付定期保険
生存していれば一定期間ごとにお祝金が受け取れる定期保険。受け取っても死亡保険金が減額されることはない。
収入保障保険
被保険者が死亡した時に死亡保険金を年金形式で受け取る保険です。契約形式は年満期と歳満期がある。分割で受け取っていくため、満期が近いほど総受取額は低くなる。そのため定期保険よりもさらに安価になる。
3.定期保険特約付終身保険
終身保険に定期保険を上乗せし、一定期間内に死亡・高度障害状態となった場合には終身保険と定期保険を合わせた保険金が支払われる。全期型と更新型(定期保険のみ更新していく)がある。
更新
告知や診査は不要で自動継続できる。しかし、更新時の保険料はその時の年齢や料率になるため高くなる場合がほとんど。クーリングオフ対象外。
4.養老保険
一定期間内に被保険者が死亡・高度障害となった場合に死亡・高度障害保険金が、保険期間満了まで生存した場合には同額の満期保険金が支払われる。貯蓄性が高い。
5.こども保険(学資保険)
こどもや孫の入学時期等に合わせて祝金が支払われたり、満期時に満期保険金が支払われる。
保険期間内に契約者(父母・祖父母)が死亡や高度障害になると以後の保険料が免除される。
被保険者(子や孫)が死亡した場合は既払保険料総額が死亡給付金として支払われる。
6.変額保険
特別勘定(他の保険と別で運用)による運用成果で保険金額が変動する保険。しかし死亡保険金額については基本保険金額が保証される。解約返戻金や有期型の満期保険金については保証しない。変動制のため予定利率は高めで、保険料がその分割安になる。有期型と終身型がある。
7.市場価格調整(MVA)を利用した保険
解約するタイミングでの市場金利により返戻金が増減する生命保険。契約時より市場金利が上昇していた場合は返戻金が減少し、市場金利が下降した場合は返戻金が増加する。そのため、契約時には解約返戻金は確定していないため、返戻金が払込保険料を下回ることもある。
8.特約組立型保険
主契約が無く、契約者が特約のみを組み合わせて作る保険。
9.健康増進型保険
加入後の健康状態や健康増進活動により料金割引や還付金が受け取れる保険。
10.少額短期保険(ミニ保険)
少額短期保険業者が取り扱う保険には保険期間や保険金額に制限がある。保険の種類には医療保険やがん保険、自転車保険などさまざまなバリエーションが存在する。
保険金額上限は、疾病等の入院80万円・死亡障害300万円(ケガは600万円)。損保系は1,000万円などで、一部の保険を除き合計で1,000万円までとなる。
保険種類 | 保険期間 |
---|---|
生命保険・医療保険 | 1年 |
損害保険 | 2年 |
2.個人年金保険
契約時に定めた一定の年齢から年金を受け取ることができる保険。老後の生活の準備に活用する。
1.定額個人年金保険と変額個人年金保険
定額個人年金保険
- 年金額は、基本年金・受取開始前の配当金を原資とする増額年金・受取開始後の配当金を原資とする増加年金、その合計額
- 受取人が死亡した場合、既払保険料相当額が死亡給付金として支払われる。
- 年金受取開始までの据置期間を長くしたり、契約期間を長くすると受取年金は多くなる。
変額個人年金保険
- 特別勘定による運用成果で年金額が変動する。年金受取総額や年金原資を最低保証しているものもある。
- 受取開始前の死亡給付金額は変動するが、全般的に既払保険料相当額は保証されている。
- 運用収益については運用中は課税されず、解約時や年金支払い時まで繰り延べられる。
- 解約返戻金には最低保証はなく、積立金から解約控除が控除されて支払われる。
2.年金の受取り方による分類
有期年金
年金受取期間中に生存している場合に限り年金が支払われる。
保証期間付有期年金
保証期間中は被保険者の生死にかかわらず年金が支払われ、保証期間経過後は被保険者が生存している&年金受取期間中に年金が支払われる。
確定年金
あらかじめ定めた年金期間中、生死にかかわらず年金が支払われる。特性上、有期年金より確定年金のほうが保険料が高くなり、年金額は少なくなる。
終身年金
被保険者が生存している限り年金が支払われ続ける。
保証期間付終身年金
保証期間中は被保険者の生死にかかわらず年金が支払われ、保証期間終了後は被保険者が生存している場合に限り年金が支払われる。
夫婦年金
夫婦を被保険者として、いずれかが生存している場合に限り年金が支払われる。
3.第三分野の保険
死亡や高度障害の生命保険部分が無く、ケガや病気を保障するだけの保険の事を第三分野保険と呼ぶ。
ちなみに生命保険は第一分野、損害保険は第二分野。
医療保険
一般に入院給付金、手術給付金がある。大抵の保険には支払限度日数が定められている。
入院の短期化、高額化に対応するため1日目に一時金がプラスされた商品が増えている。
がん保険
がんと診断されると診断給付金があり、がんで入院や手術があると入院給付金や手術給付金が支払われる。
支払限度日数が無制限のものが多い。
がんは通常の疾病と違い発見が遅れることがあるため、加入から3ヵ月程度の免責期間がある。
免責期間中にがんと診断されると契約は無効となる。
介護保険
一定の要介護状態になった場合、介護一時金や介護年金が支払われる。
要介護の認定基準は、公的介護保険と連動しているところもあれば、
保険会社独自の基準のところもあるので注意が必要である。
所得補償保険・就業不能保険
病気やケガで就業不能(入院に限らない)になった場合に、その間の所得を補償する。
所得補償保険は損害保険会社、就業不能保険は生命保険会社である。精神疾患による就業不能を保障する保険もある。
特定(三大)疾病保障保険
がん・急性心筋梗塞・脳卒中で所定の状態となった場合に死亡保険金等と同額の特定疾病保険金が支払われ、契約が消滅する。
特定疾病にかからずに死亡等すると特定疾病保険金と同額の死亡保険金が支払われる。
認知症保険
主にアルツハイマー型認知症や血管性認知症等に該当する器質性認知症と診断された場合に保険金・給付金が支払われる保険。
要介護状態を条件としているところもあるので注意が必要。 特約などを付加して軽度認知障害(MCI)を保障するタイプも存在する。
4.主な特約
特約とは、主契約に付加して保障を充実させるものである。そのため主契約なしには特約を契約することはできない。
家族型特約は主契約の被保険者が死亡するといっしょに消滅する。
1.不慮の事故による死亡保障の特約
災害割増特約
不慮の事故によるケガ等が原因で事故日から180日以内に死亡・高度障害になった場合に、災害死亡保険金・災害高度障害保険金が支払われる。
傷害特約
不慮の事故が原因で事故日から180日以内に死亡した場合や、所定の感染症が原因で死亡した場合に、災害死亡保険金が支払われる。所定に身体障害状態に該当した場合には障害の程度に応じて障害給付金が支払われる。
2.医療保障の特約
災害入院特約
不慮の事故により180日以内に入院すると支払われる。
疾病入院特約
- 病気で入院すると支払われる。
- 入院5日目から給付ものがあるが、最近は日帰り入院からの保障が一般的。上乗せがつくものもある。
- 災害と疾病を合わせた総合医療特約が普及している。
生活習慣病(成人病)入院特約
がん・脳血管疾患・心疾患・高血圧性疾患・糖尿病などの生活習慣病等で入院・手術した場合の特約
女性疾病入院特約
女性特有の病気(乳がん、子宮筋腫)で入院・手術した場合の特約(美容や正常分娩は除く)
先進医療特約
厚生労働大臣が承認する先進医療に該当する治療を行った場合に給付金が支払われる。高額治療であるため保障額も大きいものが多い。先進医療の判定については契約時点ではなく治療を受けた時点であり、厚労省は毎月見直しているため、しっかりと確認が必要である。
通院特約
入院後の通院に対して支払われる。入院前の通院に支払うものもある。
3.その他の特約
リビングニーズ特約
- 余命6ヶ月と診断されると原因に関わらず保険金を生前請求できる。
- 6か月分の保険料と利息相当分を差し引いて支払われる。
- 特約保険料負担は発生しない。
指定代理請求制度
被保険者が請求すべき保険事故が発生した際に、被保険者に特別な事情があり自らが請求を行えない場合、あらかじめ指定した指定代理請求人が被保険者に代わり請求を行える。
この特約は追加の保険料は不要。指定代理請求人の指定範囲は一般的に配偶者、直系血族、3親等以内の親族などから1名となる。
保険料払込免除特約
特定疾病や身体障害、要介護状態により所定の状態になった時に、更新後も含む以後の保険料の払い込みが免除される。
5.団体契約等の保険
団体契約保険を解説します。加入に医師の診査は不要ですが健康告知が必要です。
総合福祉団体定期保険(Aグループ保険)
役員や従業員の死亡や高度障害に備える定期保険で保険期間は1年。企業が契約者となり福利厚生の一環として利用される。
基本的な契約形態は、契:会社、被:従業員、死:従業員の遺族となる。
ヒューマンバリュー特約を付加すると会社が保険金を受け取れるようになります。
団体定期保険(Bグループ保険)
Aグループ保険に対し、こちらは従業員等が任意に加入する保険となる。同じく保険期間は1年。
団体信用生命保険
住宅ローン利用者に万一があったときにローン残債を弁済するための保険で、死亡受取人は資金を貸し出している金融機関になる。
外部リンク:㈳生命保険協会,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。2021年9月試験 学科 問12
死亡保障を目的とする生命保険の一般的な商品性に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、記載のない特約については考慮しないものとする。
- 変額保険(終身型)の死亡保険金は、運用実績に応じて保険金額が変動するが、契約時に定めた保険金額(基本保険金額)は保証される。
- 収入保障保険の死亡保険金を一時金で受け取る場合の受取額は、年金形式で受け取る場合の受取総額よりも多くなる。
- 逓減定期保険は、保険期間の経過に伴い所定の割合で保険料が逓減するが、保険金額は一定である。
- 定期保険特約付終身保険(更新型)は、定期保険特約を同額の保険金額で更新する場合、被保険者の健康状態についての告知や医師の診査が必要であり、その健康状態によっては更新することができない。
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解答
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保険金額は保証されていますね。ただし、満期や解約は保証されていません。
あくまでも保険としての死亡保障等についての部分です。
つまり、保障が保証されているってことね♪