生命保険料控除|FP2級Wiki
生命保険料控除の対象となる要件や、旧制度(2011年まで)と新制度(2012年以降)の控除限度額の違い、注意点を理解しましょう。
1.生命保険料控除の対象
自分や家族の保険料を払うと、一定の範囲で所得控除をしてくれるのが生命保険料控除。 税額控除ではなく所得控除なので、その年の収入を小さくしてくれる(所得控除)ということです。 算出した金額がそのままお得になる(税額控除)わけではないので初心者は注意です。
一般生命保険料控除の対象契約
- 有期や終身の生命保険や定期保険(死亡や高度障害などの保障全般)、変額個人年金保険、外貨建て保険も控除対象です。
- 保険金受取人が納税者本人、配偶者、その他の親族であること。
個人年金保険保険料控除の対象契約
老後に備える個人年金保険が対象となるが、なんでもってわけではなく細かい条件がある。 個人年金保険料税制適格特約を付したうえで以下の要件をすべて満たすこと。
- 年金受取人=被保険者で、契約者は被保険者本人かその配偶者であること。
- 保険料の払込期間が10年以上の契約であること(一時払いは不可)。
- 60歳以上受取開始で10年以上の受給期間がある契約であること。
介護医療保険料控除(2012年新設)
2012年1月1日以後に契約した、医療保険、がん保険、介護保険、所得補償保険(就業不能保障保険)などが対象。
生命保険料控除の対象とならない保険契約
- 2012年1月1日以後契約の災害割増特約や傷害特約
- 5年未満の貯蓄保険
- 外国保険会社との国外契約
- 信用保険契約
- 傷害保険契約
- 財形貯蓄契約、財形住宅貯蓄契約、財形年金貯蓄契約
- 少額短期保険業者との契約
控除対象となる保険料
- 年間正味払込保険料(表定保険料から配当金などを引いた額、個人年金は表定保険料)
- 自動振替貸付による保険料充当も対象
- 保険料前納の場合はその年どしに割り振られて対象
- 法人が払った保険料で従業員のみなし給与とみなされた場合も対象
一時払保険料についてはその年だけの控除になる。
2.控除額
年間の払込保険料額に応じて計算方法※があり、そこから控除額を算出する。最大限度は以下の表のとおり。
※旧制度(例:年間払込10万円で5万円)、新制度(例:年間払込8万円で4万円)
所得税(新旧制度通算12万円限度)
旧制度控除限度額 | 新制度控除限度額 | |
---|---|---|
一般生命保険料控除 | 5万円 | 4万円 |
介護医療保険料控除 | なし | 4万円 |
個人年金保険料控除 | 5万円 | 4万円 |
合計控除限度額 | 10万円 | 12万円 |
住民税(新旧制度通算7万円限度)
旧制度控除限度額 | 新制度控除限度額 | |
---|---|---|
一般生命保険料控除 | 3.5万円 | 2.8万円 |
介護医療保険料控除 | なし | 2.8万円 |
個人年金保険料控除 | 3.5万円 | 2.8万円 |
合計控除限度額 | 7万円 | 7万円 |
新制度と旧制度の適用契約がある場合(重要)
旧制度のみ適用、新制度のみ適用、新旧両制度適用(個々の控除額を合算)のうちから任意で選ぶことができる。 ただし、控除限度額は合算して所得税12万円、住民税7万円までとなる。 一般生命保険料控除、個人年金保険料控除、介護医療保険料控除、3つの控除ごとに、それぞれを新旧どちらを適用するか決めて計算を出し、それらを最後に合算して導き出します。 所得税を例にとって説明してみると、旧制度の個人年金保険を所得税最大控除5万円まで持っていて、新たに新制度対象の医療特約を所得税最大控除4万円分加入した場合は、年金は旧制度を適用し、医療特約を新制度適用として、5万円+4万円で、9万円を適用できます。 旧制度のA生命保険に控除3万円分加入していて、新たに新制度でB生命保険を控除2万円分加入した場合は、同種になるので、一般生命保険料控除については新制度を利用しないとB生命保険は適用できませんので、新制度の最大である4万円が適用となります。たとえばこれが、A保険に控除5万円分加入していたなら、選択適用ですからB保険を捨ててA保険を旧制度適用し、5万円分控除することができます。ややこしいですね。
旧制度適用の保険を見直しした場合
新制度や旧制度って言ってるけど、更新型はどうなるの?とか疑問が出てくると思います。これは見直し方によって対応が変わってきます。 主契約の更新、保障性特約の更新、保障性特約の中途付加、契約全体に係る契約転換が行われた場合、見直し後は主契約を含めた契約全体が新制度適用の保険となるとしています(その年は月割で新旧混ぜこぜ)。 注)現実はすべてがこの通りではありません!中途付加などで主契約と特約をしっかり新と旧と分離して控除証明書を発行している保険会社もあります。しかし、FP試験上では上記の認識でいないと減点となります。きんざいの認識として理解しておきましょう
外部リンク:国税庁HP(生命保険料控除),スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。2019年1月試験 学科 問14
生命保険料控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 変額個人年金保険の保険料は、個人年金保険料控除の対象となる。
- 2012年1月1日以後に締結した生命保険契約に付加された傷害特約の保険料は、一般の生命保険料控除の対象となる。
- 2011年12月31日以前に締結した定期保険特約付終身保険の定期保険特約部分を2012年1月1日以後に更新した場合、生命保険料控除においては2012年1月1日以後に新規に締結した保険契約と同様の取扱いとなる。
- 保険料の未払いにより自動振替貸付となった場合、それによって立て替えられた金額は、貸し付けられた年の生命保険料控除の対象とはならず、返済した年の生命保険料控除の対象となる。
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解答
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特約を更新したことによって新契約扱いの保険となったという事ですね。