人的控除(所得控除②)|FP2級Wiki
ここでおさえておくべきは配偶者と扶養控除です。配偶者控除、配偶者特別控除のあたりが、理解したつもりでも時間が経つとぼんやりしてきます。何度も復習して身に着けていきましょう。
1.配偶者控除
本人の合計所得金額が1,000万円以下で、生計を一にする配偶者(合計所得金額が48万円以下の者、給与収入のみの場合は給与収入が103万円以下の者、青色事業専従者・事業専従者は対象外)がいる場合に、次の金額が控除される。
配偶者控除額
納税者の合計所得金額 | 控除対象配偶者 | 老人控除対象配偶者※ |
---|---|---|
900万円以下 | 38万円 | 48万円 |
900万円超~950万円以下 | 26万円 | 32万円 |
950万円超~1,000万円以下 | 13万円 | 16万円 |
青色事業専従者・事業専従者
納税者の経営する事業に従事している配偶者や親族。
青色申告の場合は給与の全額が必要経費に
白色申告の場合は一定金額が必要経費になる。
2.配偶者特別控除
本人の合計所得金額が1,000万円以下で、生計を一にする配偶者の合計所得金額が48万円超133万円以下の場合には、本人や配偶者の所得に応じて1万円~38万円までの金額が控除される。計算方法や金額は細かいので2級では出題されないと思います。気になる方は国税庁HP参照。
例)控除額が最高額38万円となるケース
- 本人所得:900万円以下
- 配偶者:合計所得48超~95万円以下(給与収入のみの場合の給与収入150万円以下※)
※配偶者が給与収入のみで150万円以下の場合、満額の38万円を控除できるようになっている。これにより共働き家庭の満額控除が今まで103万円の壁となっていたが、配偶者特別控除として150万円まで同額控除が可能になった。ただし、本人所得900万円以下というところに注意が必要である。
配偶者控除と配偶者特別控除の要件まとめ
- 納税者本人所得:1,000万円以下
- 配偶者合計所得:配偶者控除48万円以下・配偶者特別控除48超~133万円以下
3.扶養控除
本人と生計を一にする16歳以上の扶養親族(合計所得金額が48万円以下の者、給与収入のみの場合は給与収入が103万円以下の者、青色事業者専従者・事業専従者は対象外)がいる場合は、控除対象扶養親族1人当たり次の金額が控除される。
扶養親族 | 控除額 |
---|---|
16歳未満 | 0円 |
16歳以上19歳未満 | 38万円 |
19歳以上23歳未満(特定扶養親族) | 63万円 |
23歳以上70歳未満 | 38万円 |
70歳以上(老人扶養親族) | 48万円 |
老人扶養親族のうち、 納税者またはその配偶者の直系尊属でかつ、 納税者または配偶者のいずれかと同居を常況とする者 (同居老親等) | 58万円 |
「同居の実親は10万円お得」と覚えましょう。
4.障害者控除
本人や同一生計配偶者、扶養親族が障害者である場合には、次の金額が控除される。
- 障害者1人につき27万円
- 特別障害者である場合は特別障害者1人につき40万円
- 同居特別障害者がいる場合は、1人につき75万円
5.ひとり親控除・寡婦控除
本人の合計所得金額が500万円以下の寡婦(未亡人)またはひとり親である場合にみとめられる控除。
生計を一にする子(所得48万以下)がいるひとり親は35万円。
要件を満たす寡婦の寡婦控除は27万円。
6.勤労学生控除
本人が勤労学生(合計所得金額が75万円以下かつ自己の勤労によらない所得が10万円以下の者)の場合、27万円が控除される。
※勤労学生とは、大学・高等専門学校・高等学校、専修学校等の学生・生徒などで、以下のすべてを満たす者が対象。
7.基礎控除
基礎控除は2020年から金額が変更されており、最大38万円だったものが48万円に上がっています。 その分、給与所得控除や公的年金控除、青色申告特別控除(e-tax申告者をのぞく)が一律10万円引き下げられている。
本人の合計所得金額が2,500万円以下の場合に以下の適用を受けることができる。
合計所得金額 | 控除額 |
---|---|
2,400万円以下 | 48万円 |
2,400万円超~2,450万円以下 | 32万円 |
2,450万円超~2,500万円以下 | 16万円 |
2,500万円超 | 0円 |
判定時期
年齢であったり控除対象配偶者や扶養親族の有無などは、原則として12月31日の現況において判定する。
年の途中で死亡した場合は死亡時の現況で判定する(死んだときに扶養対象等になってたかどうかってこと)。
外部リンク:国税庁,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。2021年1月試験 学科 問34
所得税における所得控除等に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。
- 納税者の合計所得金額が2,400万円以下である場合、基礎控除の額は48万円である。
- 合計所得金額が900万円以下の納税者と生計を一にする配偶者(青色申告者の事業専従者として給与の支払いを受ける人および白色申告者の事業専従者である人を除く)の合計所得金額が48万円以下の場合、納税者が適用を受けることができる配偶者控除の額は32万円である。
- 控除対象扶養親族のうち、その年の12月31日時点の年齢が19歳以上23歳未満の者を特定扶養親族といい、その者に係る扶養控除の額は58万円である。
- 給与所得控除額は、給与等の収入金額に応じて計算されるが、収入金額が180万円以下である場合は65万円となり、収入金額が850万円を超える場合は195万円となる。
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解答
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すべての選択肢に数字が出てくる難問ですね。しっかりテキストを理解している者のみが正解にたどり着けます。
人的控除(所得控除②)