相続税の申告・納付|FP2級Wiki

相続税の納付には現金一括、延納、物納とあります。延納や物納には要件がありますのでしっかり理解しましょう。

1.申告と納付

前項「08.相続税の計算」で納付すべき相続税が発生した者は、相続税の申告が必要になる。
申告申告書の提出は相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内に被相続人の死亡時の住所地を管轄する税務署長に提出する。
相続税の納付期限も同様である。
相続税の納付は原則金銭であるが、一定の要件を満たせば延納物納が可能になる。

2.延納

相続税は期限内に現金で全額が原則。期限までに全額納付できない場合は、原則最長5年、以下の要件を満たせば不動産等の価額が占める割合に応じ、最長20年とした延納が可能になる。利子税はかかる。
延納許可を受けた相続税の納付が困難となった場合は、申告期限から10年以内に限り、分納期限が未到来の税額部分を延納から物納へ変更できる(特定物納制度)。

  • 相続税が10万円を超える
  • 期限までに金銭で納付するのが困難
  • 延納額が金銭で納付困難である金額の範囲内であること
  • 担保を提供すること(ただし、延納税額100万円以下で延納期間3年以下なら不要)

担保の種類と担保の見積価額

延納の担保は一定の財産に限られる。担保財産は相続した財産に限らず、ほかの相続人や第三者の財産でも構わない。

       

3.物納

納税というのは現金が原則であるため、物納は延納しても現金納付がムリそうな時に適用されるもの。
現金一括納付が第一候補、延納が第二候補、物納が第三候補といったところでしょうか。
相続税についてのみ物納が存在します。
物納により納付が完了するまでの間、利子税を負担する。

1.物納適格財産

順位物納財産の種類
第1順位国債、地方債、不動産、船舶、
上場されている株式・社債・証券投資信託などの受益証券・投資証券など
第2順位上場されていない株式・社債・証券投資信託の受益証券または貸付信託の受益証券
第3順位・動産
相続時精算課税制度による贈与財産は物納することができません

2.収納価額

物納財産を国が収納するときの価額は、原則は相続税計算の基礎となった価格(相続税評価額)になるが、小規模宅地の評価減の適用を受けた財産なら特例適用後の価額になる。収めた相続税額を物納財産が超えた場合(超過物納)、差額は譲渡所得として課税される。

外部リンク:国税庁,スタディング FP講座

       

それでは過去問を解いてみましょう。2021年9月試験 学科 問59

相続税の納税対策に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 相続により土地を取得した者がその相続に係る相続税を延納する場合、取得した土地以外の土地を延納の担保として提供することはできない。
  2. 相続税は金銭による一括納付が原則であるが、一括納付や延納が困難な場合、納税義務者は、物納を申請することができる。
  3. 相続時精算課税制度の適用を受けた贈与財産は、物納に充てることができない。
  4. 「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」の適用を受けた宅地を物納する場合の収納価額は、特例適用後の価額である。

.

.

.

解答

Wiki技能士

担保財産は相続した財産に限りません。よって不適切。

相続税の申告・納付