借地借家法|FP2級Wiki

借地権と借家権とあります。期間が無いタイプと期間ありの定期タイプの違いをそれぞれ区別できるようにしましょう。

1.借地借家法

昔は「借地法」「借家法」「建物保護ニ関スル法律」の適用だったが、1992年より借地借家法となった。 
そのため、旧法で契約されているものについては原則更新後も旧法が適用される。

2.借地権

借地権とは建物の所有を目的とする地上権または土地の貸借権である。
借地借家法における借地権は、更新のある普通借地権と更新のない定期借地権がある。

1.地上権と土地の貸借権

地上権と土地の貸借権では借地人が権利を登記・譲渡・転貸する場合に次のようになる。

  • 借地人が地上権を登記・譲渡・転貸する場合:地主の承諾不要
  • 借地人が土地の貸借権を登記・譲渡・転貸する場合:地主の承諾

2.普通借地権

  • 建物用途:制限なし
  • 設定契約等:制限なし
  • 存続期間:30年以上(期間の定めのない場合は30年)
  • 更新あり:借地人からの更新請求は建物が存在すれば認められ、地主の拒絶は正当事由が必要。更新しない場合は地主に建物を時価で買い取るように請求できる。
  • 更新後期間:最初の更新は20年以上、その後は10年以上(定めのない場合もそれぞれ同様)
  • 滅失による借地権の消滅:<当初の期間の場合>地主の承諾を得て築造した場合は承諾のあった日か築造日から20年間。<更新後の場合>承諾を得ず再築した場合、地主は契約の解約を申し入れできる。
       

3.定期借地権

一般定期借地権
  • 建物用途:制限なし
  • 設定契約等:公正証書書面による(つまり公正証書でなくてもいい)
  • 存続期間:50年以上
  • 更新:更新なし。原則、更地で返還
事業用定期借地権・事業用借地権
  • 建物用途:事業用に限る(たとえ一部でも居住用は不可)
  • 設定契約等:公正証書による
  • 存続期間:事業用は30年以上50年未満・事業用借地権は10年以上30年未満
  • 更新:更新なし。原則、更地で返還
建物譲渡特約付借地権
  • 建物用途:制限なし
  • 設定契約等:制限なし
  • 存続期間:30年以上で地主が建物を受け取るまで
  • 更新:更新なし。地主が建物をもらうと借地権は消滅。使用継続を請求した場合は期間の定めのない建物賃貸借が締結されたとみなされる。
       

3.借家権

借地借家法の適用を受ける建物(用途に限定はない)の賃貸借のことを借家権という。
借主は借家権を登記しなくても建物の引渡しがあれば借家権を第三者に対抗できる。
ただし一時的な使用に対しては適用されない。

1.普通借家契約

普通借家契約は存続期間が満了した場合に借主が更新を望んだ場合、貸主は原則拒めない借家契約

普通借家契約のポイント
  • 契約更新:更新あり。貸主からの拒絶は正当事由必要
  • 期間:1年以上。1年未満の設定は「無期限扱い」となる。
  • 契約:口頭でも成立
  • 借主の中途解約権:期間を定めた場合期間内解約不可。解約特約があれば可。期間設定なしならいつでも可。申し入れ後3か月で終了。
  • 借賃増減請求権:賃料改定の特約があっても請求権行使は可能。相場変動などの要因があれば借主貸主どちらからでもできる。
  • 造作買取請求権:借主は同意を得て付加した造作を、契約終了の際に貸主に時価で買い取ることを請求できる。無しにする特約も可
  • そのほか:期間の定めがない場合、貸主からの解約の申し出は、正当事由があれば申し入れから6カ月経過で成立。

※造作(ぞうさく)とは、畳、建具、電気・水道施設などのこと。

2.定期借家契約

定期借家契約とは、借家契約が満了した場合に更新されない借家契約。

定期借家契約のポイント
  • 契約更新:更新なし。再契約は可能。
  • 期間:自由
  • 契約:公正証書書面(つまり公正証書でなくてもいい)
  • 事前説明:契約前に、契約更新が無く満了にて終了する旨の書面を交付して説明する。(これが無ければ普通借家契約になる)
  • 契約期間満了通知:期間満了の1年前~6カ月前までに通知が必要。1年未満の契約なら不要
  • 借主の中途解約権:中途解約特約が必要。ただし、居住用建物で200㎡未満の場合、やむを得ない場合(転勤・療養・介護など)は通常解約できる。
  • 借賃増減請求権:賃料改定の特約があれば請求権を排除できる。
  • 造作買取請求権:普通借家契約と同じルール。
  • そのほか:2000年3月1日以前(制度施行前)の居住用契約は、合意により終了させ引き続き新たに定期借家契約を締結できない(営業用はできる)。

外部リンク:国土交通省,スタディング FP講座

       

それでは過去問を解いてみましょう。2020年1月試験 学科 問43

借地借家法に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、本問においては、同法第22条の借地権を一般定期借地権といい、同法第22条から第24条の定期借地権等以外の借地権を普通借地権という。

  1. 普通借地権の存続期間は20年とされているが、当事者が契約でこれより長い期間を定めたときは、その期間とする。
  2. 普通借地権の当初の存続期間が満了する場合、借地上に建物が存在しなくても、借地権者が借地権設定者に契約の更新を請求したときは、従前の契約と同一の条件で契約を更新したものとみなされる。
  3. 一般定期借地権において、もっぱら居住の用に供する建物の所有を目的とするときは、存続期間を30年として設定することができる。
  4. 一般定期借地権において、契約の更新および建物の築造による存続期間の延長がなく、建物等の買取りの請求をしないこととする旨を定める特約は、公正証書による等書面によってしなければならない。

.

.

.

解答

助手のウィキ子

「公正証書による等書面」という表記が意地悪な問題。
書面であればOKなんですが、試験本番でこれを読んだら公正証書なのかそうじゃないのか混乱しますよね。
FP試験ってほんと意地悪が多いの(。-`ω-)

借地借家法