売買契約上の留意点|FP2級Wiki

解約手付の問題が良く出題されます。

1.売買対象面積

1.土地の面積

不動産の登記面積と実測面積は必ずしも一致しない。
そのため、登記面積で売買する公簿売買と実測面積で売買する実測売買がある。

公簿売買

売買対象面積は登記面積とし、実測面積と差異が生じても取引金額は変更しない

実測売買

登記簿の表示面積で金額を定めて契約して後から実測面積による金額との差額を精算する方法も、実測売買となる。

2.分譲マンションの専有面積

マンション等の専有部分の登記面積は内法計算(部屋の壁の内側から計測)。
対してマンションの販売用資料は壁芯面積で記載されるため、実際より大きく表示される。

       

2.手付金

不動産売買は長期に渡るため、手付金が民法で規定されている。

手付金は特に定めがなければ解約手付の性質を与えられ、
契約の相手方が契約の履行に着手※するまでは、買主は手付を放棄
売主は手付の倍額を買主に償還することで契約を解除できる。

※履行の着手とは、買主は代金(内金も含む)の支払い、売主は物件の引き渡しや登記等が該当する。

宅地建物取引業者が売主で(買主は業者以外で)の場合には、売買代金の2割を超える手付金を受け取ることはできない。

3.危険負担

民法上、売買契約締結後~引渡し前までの間に、自然災害などで売主の責めによらない事由で建物が滅失した場合、買主は売買代金の支払いの履行を拒絶できる。ただし、代金支払債務を消滅させるには契約解除となる。

       

4.契約不適合責任

1.契約不適合責任とは

売買契約において、目的物の種類・品質・数量に関して契約の内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負うこととなる責任。
契約不適合責任において買主が売主に請求することができる権利は次のとおり。

追完請求権買主が売主に対して、目的物の補修、代替物の引渡し又は不足分の引渡しを請求すること。
代金減額請求権履行の追完請求を勧告し、追完されないときに代金の減額を請求すること。
損害賠償請求権債務を履行しないとき、あるいは債務の履行が不能であるときに請求できる。
契約解除相当の猶予期間を定めて履行を催告をしても売主が債務を履行しないとき、または履行不能のときに認められる。
これらは買主が不適合を知った時から1年以内に売主に通知しなければならない。

2.契約不適合責任の期間

民法・買主は、契約の不適合を知った時から1年以内に通知すること。
また、売主側が特約を用いて責任を負う期間を定めたり責任を免除するのは有効である。
ただし、事実を知りながら告げない責任は免除できない。
宅地建物取引業法宅建業者が売主(買主は業者以外で)の場合に、売主は「引渡しから2年以上の期間、
契約不適合の通知があれば責任を負う」とする特約は有効だが、
それ以外に民法の規定より買主に不利な特約は無効となる。
住宅品質確保促進法新築住宅の構造耐久力上主要な部分等について、
引渡日より10年間、売主は責任を負う。

5.債務不履行

売買契約において債務不履行が生じた場合、債務者は損害賠償責任を負う。
なお、履行遅滞の場合は、債権者は債務者に履行を催告し、催告期間内に履行がない場合は、債権者は契約を解除できる。
一方、債務者が履行不能である場合、債権者は履行の催告をすることなく直ちに契約を解除できる。

履行遅滞・履行不能

履行遅滞とは、履行可能にもかかわらず履行期を経過しても履行しない状況の事。
履行不能とは、契約成立後~引渡しまでの間に売主の過失(火事など)により引渡しができない状況の事。

       

6.契約当事者・その他

1.不動産の売買契約の効力

契約書を作成しなくても効力を持つ。ただし二重契約の場合は契約の先後ではなく、先に所有権移転登記をしたものが所有権を主張できる。

2.未成年者による契約

父母双方が同意するか、父母が代理で売買を行う。父母の同意なしの売買は、未成年者本人または父母が取り消すことができる。 婚姻している未成年者は同意不要で売買できる。なお、2022.4以降は婚姻年齢、成年者の定義ともに18歳以上になっている。

3.共有持分の譲渡・共有物の譲渡

相続などで権利が共有となっている共有不動産の場合、共有者のひとりと契約を結んでも他の共有者の持分は買受けできない
ただし、共有持分の場合でその持分を譲渡する場合は、共有者全員の同意を得なくても単独でその持分を譲渡できる。

外部リンク:国土交通省,スタディング FP講座

       

売買契約上の留意点に関する過去問を解いてみましょう。2022年1月試験 学科 問43

不動産の売買契約に係る民法の規定に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、特約については考慮しないものとする。

  1. 買主が売主に解約手付を交付した場合、買主が契約の履行に着手するまでは、売主は受領した解約手付を返還して当該契約の解除をすることができる。
  2. 売主が種類または品質に関して契約の内容に適合しないことを知りながら、売買契約の目的物を買主に引き渡した場合、買主は、その不適合を知った時から1年以内にその旨を売主に通知しなければ、その不適合を理由として契約の解除をすることができない。
  3. 売買の目的物である建物が、売買契約締結後から引渡しまでの間に台風等の天災によって滅失した場合、買主は売買代金の支払いを拒むことができない。
  4. 売買契約締結後、買主の責めに帰さない事由により、当該契約の目的物の引渡債務の全部が履行不能となった場合、買主は履行の催告をすることなく、直ちに契約の解除をすることができる。

.

.

.

解答

Wiki技能士

設例のとおりとなります。

売買契約上の留意点