土地の有効活用|FP2級Wiki
FP1級では手ごわい部分ですが、FP2級ではさらりと出る程度です。ただし出題率は高めです。
どんな方式があるかを覚えて概要を理解しておきましょう。
1.有効活用の手法
1.自己建設方式
土地の所有者が自分で建設して土地活用を行う。いっさいの業務を所有者が行うため、収益をすべて自分のものにできるが、業務負担が大きい。事業資金の調達も自分でしなければならない。
2.事業受託方式
デベロッパー(土地開発業者)に依頼して土地活用を行う。すべてお任せにもできるので土地所有者の業務負担が軽減される。ただし資金調達は変わらず所有者が行うので返済リスクは変わらない。デベロッパーに一括賃貸して賃料保証を利用すれば空室リスクの回避ができる。
3.土地信託方式
信託銀行等の受託者が土地所有者に代わって土地を有効利用するのが土地信託方式。信託配当として運用実績に応じて配当される。賃貸型と分譲型があり、賃貸型が主流となっている。賃貸型の信託配当は不動産所得となる。
4.等価交換方式
等価交換方式とは、土地所有者とデベロッパー(開発業者)が共同して、その土地にマンションやビル等を建設する方式。 土地所有者は土地の一部や全部を一度処分して、建物の一部(例えばマンションならいくつかの部屋)を手に入れ、デベロッパーは建物の残りと土地の共同持分を手に入れます。 方法には一部を譲渡する部分譲渡方式と、一度全部譲渡した後に対価分の土地建物を再取得する全部譲渡方式があります。 それにより土地所有者は事業資金を必要とせず、リスクが少ないので採算性は極めて良い。共同事業により土地の有効活用についてのノウハウが無くても効率的にさまざまな建設が可能になるのもメリット。ただし、土地所有者は土地の一部を手放すことになります。
5.定期借地権方式
定期借地権方式は、土地を一定期間貸し付けて収益を上げる方法である。 そのまま貸すので土地所有者は事業資金の負担がいらず、収益も比較的安定している。ただし全般的に収入は少ない。
6.建設協力金方式
建物に入居するテナントから建設協力金を借り受けてそのテナントが望む建物を建設し賃貸(借家契約)する方式である。
(郊外レストランや量販店をキーテナントにしている施設に多く見られる方式)
テナントから借りた資金は受け取る家賃の中から返還していく。
土地は貸家建付地、建物は貸家の評価になる。
建設する建物はそのテナント向けの構造となるため、その後の汎用性は悪い。
各手法の特性
自己建設方式 | 事業受託方式 | 等価交換方式 | 定期借地権方式 | 建設協力金方式 | |
---|---|---|---|---|---|
事業推進者 | 土地所有者 | デベロッパー | デベロッパー | デベロッパー | 土地所有者 |
土地権利 | そのまま 所有者 | そのまま 所有者 | 土地所有者と デベロッパー | そのまま 所有者 | そのまま 所有者 |
建物権利 | 土地所有者 | 土地所有者 | 土地所有者と デベロッパー | 借地中は 借地権者 | 土地所有者 |
事業資金の調達 | 土地所有者 | 土地所有者 | 不要 | 不要 | テナント から借りる |
2.等価交換の税務
それぞれ適用要件は異なるが、等価交換事業の条件によって「特定事業用資産の買換え・交換の特例」や「立体買換えの特例」を利用することができる。 それにより譲渡益を、特定事業用資産の買換え・交換の特例ならおおむね80%、立体買換えの特例なら100%繰延が可能になる。
外部リンク:㈳不動産協会,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。2021年1月試験 学科 問50
不動産の有効活用の手法の一般的な特徴に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 定期借地権方式では、土地所有者は土地を一定期間貸し付けることにより地代収入を得ることができ、当該土地上に建設される建物の建設資金を負担する必要がない。
- 等価交換方式では、土地所有者は、建設資金を負担することなく、出資割合に応じて、建設された建物の一部を取得することができる。
- 建設協力金方式では、建設する建物を借り受ける予定のテナント等から、建設資金の全部または一部を借り受けてビルや店舗等を建設することとなる。
- 事業受託方式では、土地所有者が建設資金を負担することなく、土地有効活用の企画、建設会社の選定、土地上に建設した建物の管理・運営等をデベロッパーに任せることができる。
.
.
.
解答
4
「建設資金を負担することなく」というところが不適切ですね。