建築基準法|FP2級Wiki
建築基準法のポイントは用途制限の違いと、接道義務、セットバックです。FP2級では特に重点的に覚えましょう。
1.用途制限
13種類の用途地域ごとに、用途に応じて建築可能か否かが定められている。主だったものは以下の通り。
- 工業専用地域に住宅、病院、ホテルなどは建築できない(工業地域では住宅は可)。
- 第一種、第二種低層住居専用地域、田園住居地域では、診療所は可だが、病院は不可(おっきいから)。
- 各低層住居専用、田園住居、各中高層住居専用地域ではホテル、旅館の宿泊施設は不可(第一種住居地域は3,000㎡以下のみ可)。
なお、敷地が2以上の用途地域にまたがる場合、敷地の過半の属する用途地域の制限が敷地全体に適用される。
2.道路に関する制限
1.接道義務
都市計画区域および準都市計画区域内の建築物の敷地は、原則、幅員4m以上の道路(自動車専用のぞく)に2m以上接していなければ、建築できない。
2.セットバック
すでに建物が建ち並んでいる4m未満の道路で特定行政庁の指定を受けた道路は42条2項道路といい、建築基準法上の道路とみなされる。この場合は現況道路の中心線から2mずつ両側に後退した線が道路境界線とみなされ、後退部分(セットバック部分)は建蔽率や容積率の算定で面積には含まれない。
ただし、反対側ががけ地や川、線路などで後退の仕様がない場合は、4m道路にするために必要な分をすべてこちら側にセットバックしなくてはならないので注意が必要です(自分が家を買う場合に、線路沿いの安い土地等は再建築時にセットバックの恐れがあります)。
3.建蔽率
建蔽率とは、建築物の建築面積の敷地面積に対する割合をいう。
建蔽率(%)=(建築面積÷敷地面積)×100
例えば建蔽率50%であれば敷地面積の半分が建築面積の限度となる。
建蔽率は、原則として都市計画等で定められる。
また、以下に該当する場合は建蔽率が緩和される。
- 特定行政庁が指定する角地等:10%加算
- 防火地域にある耐火建築物、準防火地域にある耐火、準耐火建築物:10%加算
- 上記の条件を同時に満たす場合は両方適用で合計20%加算。
- 建蔽率80%の地域内で、防火地域内にある耐火建築物等:建蔽率の制限なし(100%)
<参考> | 耐火建築物 | 準耐火建築物 |
---|---|---|
防火地域内 | 10%加算 (または100%) | ー |
準防火地域内 | 10%加算 | 10%加算 |
- 建築物の敷地が建蔽率の異なる2以上の地域にわたる場合は、それぞれの地域の建蔽率を計算して合計した数値(加重平均)が最高限度となる。
- 建築物の敷地が防火地域の内外にわたる場合、原則として厳しいほうの防火地域の規制を受ける。建物が耐火建築物であるなら、その敷地はすべて防火地域内にあるものとして建蔽率の緩和を適用する。
- 準防火地域と防火・準防火地域内以外の区域にわたる場合で、耐火・準耐火建築物のときはすべて準防火地域にあるものとして建蔽率の緩和を適用する。
4.容積率
建築物の延べ面積(各階の床面積の合計)の敷地面積に対する割合のことを容積率という。
容積率(%)=(延べ面積÷敷地面積)×100
容積率は各用途地域の区分に従い、原則として、都市計画により定められている数値を超えることはできない。
- 前面道路(2以上あるときは幅員が最大のもの)の幅員が12m以上である場合、容積率の最高限度は都市計画等により指定されたものが限度となる。
- 前面道路(2以上あるときは幅員が最大のもの)の幅員が12m未満である場合、容積率は都市計画で指定する限度と、「前面道路の幅員×法定乗数※」のいずれか低いほうが限度となる。
※法定乗数の例:住居系用途地域10分の4、商業系・工業系用途地域10分の6
- 建築物の敷地が2以上の容積率の異なる地域にわたる場合は、それぞれの地域の容積率を加重平均して計算する。
5.防火規制
市街地の建築物の防火性能を集団的に向上させ、火災の拡大を防ぐ目的で防火規制が設けられている。以下の順番で規制が厳しくなっている。
防火地域>準防火地域>指定なし
建築物が防火地域と準防火地域と指定なし区域等、複数にわたる場合は、原則として建物全部が厳しいほうにあるものとして制限される。
6.その他
1.絶対高さ制限
第一種、第二種低層住居専用地域、田園住居地域は、 原則として建築物の高さは都市計画で定めた10mまたは12mが上限となる。
(いわゆる閑静な住宅地がこのエリアにあたる)
2.斜線制限
斜線制限とは近隣の環境を守るために建築物の高さを一定の斜線内に留めなければならないというもの。全3種。
- 道路斜線制限:道路の風通しや採光を確保する。すべての地域に適用される(無指定区域含む)。
- 隣地斜線制限:お隣さんの日照や風通しを確保する。低層・田園以外に適用される(無指定区域含む)。
- 北側斜線制限:北側のお隣さんの日照を確保する。原則、低層・田園・中高層の地域に適用される。
3.日影規制
中高層建築物の建築により周辺に生じるその建物の日影を、冬至日において一定時間内に収まるように、高さや形状を制限するもの。
原則、商業地域、工業地域、工業専用地域以外で、地方公共団体の条例で定めた区域で適用される。
4.建築確認
建築主は一定の建築工事をしようとする場合には、着手前に申請書を提出し確認済証の交付を受けなければいけない。
建築確認が必要な建築物かどうかは、場所や目的、規模などによりそれぞれ異なっている(どう違うのかまでは出題されない)。
外部リンク:国土交通省,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。2021年1月試験 学科 問46
都市計画区域および準都市計画区域内における建築基準法の規定に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 建築物の敷地は、原則として、建築基準法に規定する道路に2m以上接していなければならない。
- 工業の利便を増進するため定める地域である工業専用地域内には、原則として、住宅を建てることはできない。
- 敷地の前面道路の幅員が12m未満である建築物の容積率は、原則として、前面道路の幅員により定まる容積率と都市計画で定められた容積率とのいずれか低い方が上限となる。
- 防火地域内に耐火建築物を建築する場合は、建蔽率および容積率の双方の制限について緩和措置の適用を受けることができる。
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解答
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耐火建築物で受けられる緩和措置は建蔽率だけですね♪
建築基準法