金融政策と金利|FP2級Wiki

金融政策と金利について学びます。日本銀行が行っている経済対策。各市場と金利の関係など。お金についての世の中の仕組みを学びましょう。

       

1.金融政策

日本銀行は、物価の安定や持続的な経済成長・国際収支の均衡などの観点から ①公開市場操作②預金準備率操作などの金融政策を行っている。

①公開市場操作

日本銀行が民間銀行に対して債券等を売買し、市中の資金量を調節すること
景気を刺激するなら金融緩和として買いオペ(資金供給)をし、 景気を抑制するなら金融引き締めとして売りオペ(市場資金吸収)をします。
買いオペをすると市場金利は低下し、売りオペになると市場金利は上昇する。

②預金準備率操作

民間銀行等が日本銀行に積み立てる準備預金の割合を変更すること
景気を刺激するなら金融緩和として引下げ(貸出資金量を増加)を行い、
景気を抑制するなら金融引締めとして引上げ(貸出資金量が減少)する。

金融政策に関するその他の事項

2016年からは長短金利操作付き量的・質的金融緩和が継続されている。
市場調節によって長短金利の操作を行う「イールドカーブコントロール(YCC)」
消費者物価上昇率2%を超えるまでマネタリーベース(資金供給量)の拡大方針を継続する「オーバーシュート型コミットメント」
この2点で成り立っている。

※イールドカーブとは、縦軸が債券の利回り(金利)で横軸が債権の償還期間(残存期間)とした曲線グラフのこと

※オーバーシュート(目標を大きく超えても)、コミットメント(政策を続けることを約束します)という意味です。

       

2.財政政策

景気刺激策としての財政政策には、減税や赤字国債の発行による財政支出の増大がある。
税収不足を国債の増発によって賄う場合、国債の価格が下落し、金利の上昇を招くおそれがある。

3.経済動向と金利の変動

経済の動きに合わせて金利は変動する。その動きにはある程度の傾向がある。

  1. 国内景気が好況だと金利は上昇、不況だと下降
  2. 国内物価が上昇すると金利は上昇、下落すると金利も下落する
  3. 外国為替が円安になると金利は上昇、円高になると下落する
  4. 海外金利が上昇すると金利も上昇、下落すると金利も下落する
  5. 株価が上昇すると金利も上昇、下落すると金利も下落する
       

1.景気と金利

一般的に景気が上昇する場合、企業は資金を欲するために金利は上昇する。
逆に景気が後退する場合は企業は投資を控えるため金利は低下する。

2.物価と金利

景気が上昇すると消費増大により物価が上昇(インフレ)し、金利も上昇景気後退時は消費縮小により物価は下落(デフレ)、金利も低下する。

3.外国為替と金利

円安傾向になると輸入品の物価が上昇することで国内物価も上昇するため金利も上昇円高は物価も下がり金利も低下する。

4.海外金利と金利

海外金利が上昇すると投資資金が円から海外に逃げるため円安となり、結果円金利は上昇する。
海外金利が低下すると円高となるので円金利は低下する。

5.株価と金利

景気拡張で株価が上昇すると、企業が投資したり、投資資金が債券から株式に移るため、金利は上昇する。
景気後退では株価が下落金利も低下する。

一方で、金利が上昇すると、投資資金が株式から債券に戻るため株価は低下する。
反対に金利が低下すると株価は上昇する。
       

4.経済動向と為替の変動

1.物価と為替

物価上昇は円安が進みやすくなります。物価下落は円高が進みやすくなります。
これは購買力平価説に基づいている。

購買力平価説

スウェーデンの経済学者カッセルの唱えた為替レートの決定理論。現在でも研究・利用されている理論。
為替レートは2国間の物価水準の変化に連動して決定されるという説。正常な自由貿易が行われていた時期の為替相場を基準として、そこからの物価水準の変化を計算する。例えば片方の国の物価が上昇すればその国の通貨の価値は下がるため、その通貨の為替レートは下落するという考え方。

2.景気と為替

景気が回復すると、海外投資家の資金が円に戻ってくるため、円高となりやすい。
また逆に、外貨建金融商品への投資が増加することは円安要因となる。
内外金利差(国内と国外の金利差)の縮小は円高、拡大は円安となりやすい。

外部リンク:経済産業省HP,スタディング FP講座

       

それでは過去問を解いてみましょう。2019年9月試験 学科 問21

日本円・米ドル間の為替相場の変動要因等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。

  1. 購買力平価説によれば、米国と日本に同じ財があり、その財を米国では2米ドル、日本では220円で買える場合、為替レートは1米ドル=110円が妥当と考える。
  2. 米国の物価が日本と比較して相対的に上昇することは、一般に、円安米ドル高要因となる。
  3. 日本の対米貿易黒字の拡大は、一般に、円高米ドル安要因となる。
  4. 米国が政策金利を引き上げ、日本との金利差が拡大することは、一般に、円安米ドル高要因となる。

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解答

Wiki技能士

米国物価が上がってるってことは、言い方変えると米ドルが下がってるってことですね。
(アメリカ人がいままで1$で買えてたものを1.1$とかで買ってる状況ですからね)
米ドルの価値が下がってるってことは相対的に円の価値が高まることになります。
円高米安です。 なので不適切。