投資信託|FP2級Wiki
投資信託の運用スタイルについての出題が多いです。
仕組みをしっかり理解して間違えないようにしましょう。
1.投資信託の仕組み
投資信託とは「信じて託す」の名のとおり、複数の顧客から資金を集めて大きな資産とし、それを専門家が管理・運用して増やし、その成果を分配金等で顧客に還元するものです。
投資信託の購入先には設立形態の違いにより「契約型」と「会社型」の2種類があります。現在の多くの投資信託は契約型となります。会社型というのは投資法人を設立するケースです。
契約型投資信託
契約型は、顧客(受益者)が購入する投資信託の販売・運用・管理を、
それぞれ証券会社(販売会社)・投資信託委託会社(委託者)・信託銀行(受託者)の3者が分担して行っています。
- 販売会社:投資信託の募集や目論見書・運用報告書の交付、分配金の支払等を行う。
- 委託者:目論見書・運用報告書の作成、信託財産の運用指図等を行う。
- 受託者:委託者からの指図に基づいて売買を行い、信託財産の名義人になる。
2.投資信託のコスト
投資家が負担するコストとしては、次のものがある。また、下記以外にも信託財産から監査報酬や組入証券に係る売買委託手数料が支払われ、それらは投資家にとって間接的な費用となる。
購入時手数料
販売会社が投資家から受け取る手数料。同じ投資信託を同じ口数購入しても販売会社によって異なることがある。無料(ノーロード)の投資信託もある。
運用管理費用(信託報酬)
投資信託の運用・管理サービスに対して委託者や販売会社、受託者が受け取る報酬。日々、信託財産の中から徴収される。
委託者報酬
運用管理費用(信託報酬)のなかから委託者が受け取る手数料。
代行手数料
委託者が事務代行業務の報酬として販売会社に支払う手数料。
受託者報酬
資産を管理している受託者が受け取る手数料。
信託財産留保額
投資家の解約による証券などの売却費用について、解約代金から差し引く金額。信託財産に留保され、基準価額に反映される。購入時に徴収するものもある。償還時には徴収されない。
3.投資信託のディスクロージャー
1.目論見書・運用報告書
目論見書と運用報告書は投資信託委託会社が作成し、販売会社を通じて投資家に交付する。
目論見書(投資信託説明書)
- 投資家が投資信託を購入する前または購入と同時に交付しなければならない交付目論見書(基本情報)と、投資家から請求があったときに直ちに交付しなければならない請求目論見書(追加情報)に分かれている。
- あらかじめ投資家の同意を得ていればインターネットのHPや電子メールなどの方法でも交付可。
運用報告書
- 投資信託の運用結果や今後の運用方針などが記載されている。
- 必ず書面で交付する交付運用報告書と電磁的方法を原則とする運用報告書(全体版)に2段階化されている。
2.トータルリターン通知制度
販売会社は投資信託を保有している投資家に対して年1回以上トータルリターンを通知しなければならない。
(トータルリターンとは、分配金の受取や一部解約を反映した総合的な損益状況のこと。)
4.投資信託の分類
1.投資対象別の分類
投資対象に株式を組み入れ可能かどうかにより、2つに分かれる。
- 公社債投資信託:公社債やCD(譲渡性預金)、CP(コマーシャルペーパー)などの短期金融商品で運用する。株式は組み入れない。
- 株式投資信託:運用対象に株式を組み入れることが可能なタイプ(実際に組んでなくても)。
※CDは市場で売買できる定期預金のこと。CPは信用ある企業が無担保で市場に売り出す約束手形のこと。
2.追加設定の有無による分類
追加設定の有無によって、単位型投資信託と追加型投資信託に分かれる。
- 単位(ユニット)型:ファンドの設定後は追加設定が行われず、新規設定の募集期間のみ購入が可能。
- 追加(オープン)型:ファンド設定後も追加購入でき、償還期間が無期限のものもある。
3.解約の可否による分類
- オープン・エンド型:現在主流。投資家が解約できる投資信託。購入後一定期間のみ縛りがあるもの(クローズド期間)もある。
- クローズド・エンド型:現在下火。投資家が解約できない投資信託。換金するには解約ではなく市場で売却するしかない。
4.設立形態による分類
- 契約型投資信託:委託者・受託者・受益者の3者で構成される投資信託。ETF(上場投資信託)など。
- 会社型投資信託:投資を目的とする投資法人を設立し、その投資法人が発行する投資証券を投資家が取得する。J-REITなど。
5.投資家の対象による分類
- 公募投資信託:投資家の対象を限定しない。
- 私募投資信託:投資家の対象を限定する。
私募投資信託では、公募投資信託に義務付けられている目論見書や有価証券報告書などの作成等は不要である。
5.公社債投資信託
代表的な追加型公社債投資信託にMRFとMMFがある。
MRF(マネー・リザーブ・ファンド)・MMF(マネー・マネージメント・ファンド)
MRF(マネー・リザーブ・ファンド)・MMF(マネー・マネージメント・ファンド) とは、オープン型の公社債投資信託のこと。投資信託には珍しく、元本に損失が生じた場合、投資信託委託会社が補償することを認めている(認めているだけで、MRFが元本保証商品と言う意味ではない)。滅多に元本割れを起こす商品ではないが、実際2000年に元本を割ったことがある。
MRFは証券口座に入金すると自動的に運用開始され、銀行預金のような簡便さがある。 対してMMFは別途購入を要する。短期売買などをすると信託財産留保額がかかる。
- 購入単位は1円以上1円単位
- 換金制限なし
- 当日換金可能
- 決算分配は毎日決算型でその収益は1ヶ月分まとめて再投資される(1カ月複利のような効果)。
6.株式投資信託の運用手法
1.パッシブ運用
運用成果が日経平均株価や東証株価指数といったインデックス(ベンチマーク)に連動するように設計された投資信託。インデックス型。
2.アクティブ運用
ベンチマークを上回る運用成果を目指す投資信託。一般に、パッシブ運用に比べて運用管理費用(信託報酬)が高い。
3.マーケットニュートラル運用
割安銘柄の買建てと割高銘柄の売建てを同時に行いながら、市場変動の影響を受けないように運用していく手法。
銘柄の選択方式(手順)
トップダウンアプローチ
マクロ的な視点で経済環境を分析し資産配分を決定。そこから組み入れ銘柄を決めていく手法。たとえば海外ファンドならどの国に何割ずつ割り振るかを決めてからそれぞれの国の個別銘柄を決めていくような感じ。
ボトムアップアプローチ
個別銘柄選択を重視。個別企業の調査分析を密にし、企業訪問などを重ねて銘柄を決定。その積み上げによりファンドを設計する手法。マクロ経済による経済の状況などには注目せず。個別企業の業績を重視。
運用スタイル
バリュー投資
PERやPBRなどで株価が割安だと判断される銘柄で運用する。
グロース投資
売り上げや利益の成長性が高いと判断される銘柄で運用する。PERやPBRが多少高くても今後の成長を期待して投資する。
7.その他の投資信託
1.ブル型とベア型
デリバティブ(金融派生商品のこと。先物・オプション・スワップ取引など)を活用する運用方式。 攻撃的で、特殊型に分類される。 ブル(強気)型は相場(日経平均など)が上昇すると基準価額以上の上昇をする。 ベア(弱気)型は下落すると基準価額が上昇する。 レバレッジ(てこ)を利用して2倍超の動きに設計されているファンドもある。 通常、ブルベア型を単体で運用する投信は少なく、 資金プール用のマネーポートフォリオファンドなどをセットにして、セレクト型ファンドになっているものが多い。 例:野〇ブルベアセレクト8(ブルベアだけではなくて複数のファンドをスイッチできる)。追加型投信/海外/株式/特殊型
2.上場されている投資信託
①ETF(上場投資信託)
特定の株価指数や商品指数(金や原油など)に連動することを目指す投資信託で、株式みたいに証券取引所に上場されている。 売買においては、株式同様、指値注文や成行注文が可能である。契約型投資信託。
ブル型やベア型のETFもある。
ブル型ETF
- 日経平均レバレッジ・インデックス(日経平均株価の変動率の2倍の値動きになる指数)に連動するETF
- TOPIXレバレッジ指数(TOPIXの変動率に一定の正の倍数を乗じた変動率となる指数)に連動するETF
ベア型ETF
- 日経平均インバース・インデックス(日経平均株価の変動と逆の動きとなる指数)に連動するETF
- TOPIXインバース指数(TOPIXの変動率に負の倍数を乗じた変動率となり、TOPIXと逆の動きをする指数)に連動するETF
②J-REIT(不動産投資信託)
J-REITは、オフィスビルや商業施設などの不動産を運用対象とする投資信託で、東京証券取引所に上場して売買する。 賃貸収入や売買益で運用成果を上げ、投資家に分配する。 設立形態は会社型投資信託になる。
ETFとJ-REITの売買方法
どちらも上場株式と同じ。
- 立会時間中は上場された金融商品取引所でいつでも時価で売買できる。
- 指値注文や成行注文ができ、信用取引もできる。
- 売買時に委託手数料がかかる。
- 非上場の投資信託に比べて運用管理費用(信託報酬)が安い。
ETFとJ-REITの違い
項目 | ETF | J-REIT |
---|---|---|
設立形態 | 契約型投資信託 | 会社型投資信託 |
配当控除 | 受けられる | 受けられない |
3.ファンド・オブ・ファンズ
2種類ある運用方式のもうひとつ。ファンドオブファンズは複数の投資信託を投資対象にした投資信託。
通常の投資信託は株券や債券などに投資しますが、これは投資信託に投資する投資信託(まさにファンドオブファンズ)です。
そのおかげで小口の投資家でも大型投信に投資できますし、ただでさえ複数銘柄を使う投資信託を複数組み合わせますから、その分かなりリスクが分散されますが、当然コストは余計にかかります。
4.通貨選択型
株式や債券などの投資対象資産の通貨とは異なる通貨を選択して投資することができる投資信託。
外部リンク:日本証券業協会,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。2020年1月試験 学科 問22
投資信託の一般的な運用手法等に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- マクロ的な環境要因等を基に国別組入比率や業種別組入比率などを決定し、その比率に応じて、個別銘柄を組み入れてポートフォリオを構築する手法をトップダウン・アプローチという。
- 各銘柄の投資指標の分析や企業業績などのリサーチによって銘柄を選定し、その積上げによってポートフォリオを構築する手法をボトムアップ・アプローチという。
- ベンチマークの動きにできる限り連動することで、同等の運用収益率を得ることを目指すパッシブ運用は、アクティブ運用に比べて運用コストを低めに抑えられる傾向がある。
- 企業の将来の売上高や利益の成長性が市場平均よりも高い銘柄を組み入れて運用するグロース運用は、配当利回りの高い銘柄中心のポートフォリオとなる傾向がある。
解答
4
グロースは成長って意味だから、多少高くてもこれから大きくなりそうなところに投資するのよね。
私も成長性の高い彼氏を見つけてグロース運用するっっ!!