金融商品と税金|FP2級Wiki
金融商品に関する課税知識を深めます。
中でも非課税制度のNISAが頻出です。2024年の改正も含めて学習しておきましょう。
それ以外では、利益についてそれぞれ利子所得なのか配当所得なのか譲渡所得なのか。その辺りが要注意です。
1.預貯金
預貯金の利子は、利子所得20.315%(所得税15.315%、住民税5%)となる。
源泉分離課税方式なので、確定申告不要。
2.債券(公社債)
1.特定公社債と一般公社債
債券は、市場で自由に売買(公募)できる特定公社債(国債、地方債、公募公社債、外国国債など)と、私募債などの一般公社債に区分される。
2.特定公社債の課税
- 利子(クーポン):利子所得として20.315%の申告分離課税(源泉徴収で申告不要も可)
- 償還差益&譲渡益:譲渡所得等として20.315%の申告分離課税
3.特定口座
特定公社債は、後述の株式等といっしょに特定口座を利用できる。
4.損益通算と損失の繰越控除
特定公社債等と上場株式等は、申告分離課税を選択していれば、確定申告により損益通算することができ、損失が残った場合は翌年以後3年間繰越控除できる。
3.株式
1.上場株式等の配当金の課税(大口株主を除く)
配当所得として配当金に20.315%が源泉徴収され、申告不要、総合課税、申告分離課税のいずれかを選択できる。
また、総合課税を選択した場合は配当控除を適用できる。
2.上場株式等の譲渡損益の課税
譲渡所得等として20.315%の申告分離課税となる。
特定口座
金融機関で特定口座を開設(普通預金に付与するような感じ)すると、口座内の譲渡所得等の計算を金融機関が行ってくれる。
特定口座には源泉徴収選択口座と簡易申告口座があり、源泉徴収選択口座を選択すると申告不要にできる。また、口座内で損益通算もしてくれるので、年間損益がマイナスの場合は配当・利子から差し引かれた源泉税額が還付される。
損益通算
上場株式等の譲渡損失は、確定申告により申告分離課税を選択した上場株式等の配当所得等と損益通算できる。なお、上場株式等に係る譲渡所得等(上場株)と一般株式等に係る譲渡所得等(非上場株)の間では損益通算できない。また、損益通算しても残った上場株式等の譲渡損失は確定申告により翌年以降3年間繰越控除できる。
4.NISA(少額投資非課税制度)
NISAとは、NISA口座(非課税口座)を開設することで、毎年一定金額の範囲内で購入した金融商品から生じる利益が、一定期間非課税となる制度です。 2023年までのNISAには、一般NISA、ジュニアNISA、つみたてNISAの3種類が存在していました。2024年1月に改正しており、新体制になりました。
世間でも話題になっているNISAはFP試験でも頻出項目です。しっかり学習しましょう。
NISAのルール
損益通算について
他の上場株式等の譲渡益・配当との通算は不可
非課税投資額管理
- それぞれNISAにはその年の投資額に利用限度がある
- 途中売却は自由だが、売却部分の枠は再利用は不可
- その年の未使用分の非課税枠の翌年以降への繰越は不可
- 配当が非課税となるのは、受取方法を株式数比例配分方式とした場合のみ
- 特定口座や一般口座ですでに保有している上場株式等の非課税口座への移管は不可
新NISAの概要
成長投資枠(旧一般NISA)とつみたて投資枠(旧つみたてNISA)があり併用可能。口座開設期間の恒久化。非課税期間の無制限化が実現した精度となっています。
新NISAの特徴
年間の投資上限 | 成長投資枠:240万円 つみたて投資枠:120万円 |
生涯非課税限度 | 1800万(売却後、翌年以降に再利用可能) 内、成長投資枠は1200万円が限度 |
非課税期間 | 無期限 |
口座開設可能期間 | 恒久化 |
利用可能者 | 1月1日時点で18歳以上 |
成長投資枠
投資方法に制限はなく、対象銘柄を自由なタイミングで購入可能。
非課税の対象になる銘柄
上場株式、公募株式投資信託、ETF、J-REIT
つみたて投資枠
つみたて投資枠は、対象銘柄から選択し、定期かつ継続的な方法で投資する必要があります。
非課税の対象になる銘柄
長期の積立・分散投資に適した一定の公募株式投資信託、ETF
- 販売手数料はゼロ(ノーロード)
- 運用管理費用(信託報酬)は一定水準以下
- 信託契約期間が無期限か20年以上
5.投資信託
1.公社債投資信託
公募公社債投資信託は、特定公社債等として特定公社債と同様の課税関係となる。
- 収益分配金:利子所得として20.315%の申告分離課税(源泉徴収で申告不要も可)
- 解約益・譲渡益・償還益:譲渡所得等として20.315%の申告分離課税
2.株式投資信託
公募株式投資信託は、上場株式等として上場株式と同様の課税関係となる。
- 収益分配金:普通分配金※は配当所得として20.315%源泉徴収(特別分配金※は非課税)
- 解約益・譲渡益・償還益:譲渡所得等として20.315%の申告分離課税
※特別分配金とは元本から払い戻して支払われる分配金のこと(元本が下がるのでその分は非課税になる)。
※普通分配金は純粋に運用収益から支払われる分配金。課税対象になる。
基準価額
1万口当たりの投資信託財産の時価のこと。投資信託財産を受益権口数で除することで求める。
個別元本
投資家ごとの投資元本。複数回に分けて購入した場合は、加重平均により計算する。特別分配金(元本払戻金)が支払われた場合、その金額の分だけ元本が小さくなる。
例)基準価額11,000円の投信から分配金1,500円を受け取る場合、内訳が普通分配金が1,000円、特別分配金が500円だとすると、分配落ち後の基準価額は10,500円になる。また、普通分配金1,000円に対しては源泉徴収税が掛かる。
3.上場投資信託
ETFとJ-REITは、上場株式等として上場株式と同様の課税関係となる。ただし、JーREITは、総合課税を選択しても配当控除の適用を受けることはできない。
6.外貨建て商品
1.外貨預金
預入時の為替先物予約なし
利子は利子所得として20.315%の源泉分離課税、為替差益は雑所得として総合課税。
預入時の為替先物予約あり
利子、為替差益ともに20.315%の源泉分離課税。
2.外国株式(上場)
上場株式と同様の課税関係となる。ただし、総合課税を選択しても配当控除の適用を受けることはできない。
3.外国債券
一部を除き、特定公社債等として特定公社債と同様の課税関係となる。
4.外貨建てMMF
特定公社債等として特定公社債と同様の課税関係となる。
収益分配金
利子所得として20.315%の申告分離課税(源泉徴収で申告不要も可)
譲渡益(為替差益含む)
譲渡所得等として20.315%の申告分離課税
5.外国為替証拠金取引(FX)
差金決済による差益
先物取引に係る雑所得等として20.315%の申告分離課税
差金決済による差損
ほかの先物取引に係る雑所得等との損益通算ができる。通算後にも損失が残る場合は、翌年以降3年間先物取引に係る雑所得等の金額から控除できる。
外部リンク:国税庁,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。2020年9月試験 学科 問28
2021年中に株式投資を行う場合のNISA(非課税上場株式等管理契約に係る少額投資非課税制度)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、NISAにより投資収益が非課税となる口座をNISA口座という。
- NISA口座で保有する上場株式を譲渡して損失が生じた場合、確定申告を行うことにより、同一年中の特定口座や一般口座における上場株式の譲渡益と損益を通算することができる。
- 特定口座で保有する上場株式をNISA口座に設定される非課税管理勘定に移管することにより、移管後5年以内に生じた当該上場株式の譲渡益は非課税となる。
- 同一の金融機関に特定口座とNISA口座を開設している場合、NISA口座で保有する上場株式は、特段の手続きをせずに非課税期間終了を迎えると、自動的に特定口座に移管される。
- NISA口座で保有する上場株式の配当金を非課税扱いにするためには、配当金の受取方法として配当金領収証方式を選択しなければならない。
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解答
3
NISA口座は終了を迎えると自動的に移管されますが、非課税口座へのロールオーバーや一般口座へもできます。
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