確定拠出年金等(公的年金以外の年金)|FP2級Wiki
公的年金以外の任意加入できる年金について解説します。確定拠出年金が出題の主体となります。
より詳しく学習なさりたい方はFP1級Wikiと併せてご覧ください。
1.厚生年金基金
老齢厚生年金の報酬比例部分の一部の給付を国に代行して厚生年金基金が行って、独自の上乗せ給付をする企業年金制度。
厚生年金基金は昔は代表的な企業年金制度だったが、現在は多くが無くなり他の企業年金制度に移行しており、新規設立はできなくなっている。
支給開始年齢は生年月日で異なり、60~65歳から開始する。
2.確定給付企業年金(DB)
給付額があらかじめ確定されている企業年金制度が確定給付企業年金(DB)。
運用の責任は事業主が負う。
掛金は事業主が原則負担し、運用結果が悪ければ事業主が不足分を穴埋めする。
DBとも呼ばれ、現在、最も普及している制度。
実は厚生年金基金もDBのひとつ。
基金型と規約型の2つがある。
基金型DB
企業が法人格を持った企業年金基金を設立し、基金が管理・運用・給付を行う企業年金制度。国の代行はしない。
規約型DB
労使合意した規約に基づき、企業が金融機関等と契約をして掛金を拠出、年金資産を管理・運用して年金給付を行う制度。
3.確定拠出年金(DC)
掛金は決まっているが、将来の給付額が決まっていないのが確定拠出年金(DC)。
確定拠出年金には個人型と企業型がある。
個人型は最長65歳、企業型は最長70歳まで加入できる。
個人型年金(iDeCo)
実施主体
国民年金基金連合会
加入対象者
第1号被保険者、第2号被保険者、第3号被保険者
(1号は保険料を納付している事。ただし、障害給付での免除や産前産後の免除者などはOK)
掛金の拠出
加入者(個人)
拠出額
国民年金の第1号被保険者 | 年間拠出限度額(月額) |
---|---|
自営業者等 | 81万6,000円(68,000円)※ |
国民年金の第2号被保険者 (厚生年金保険の被保険者) | 年間拠出限度額(月額) |
---|---|
企業型確定拠出年金がなく、企業年金もない場合 | 27万6,000円(23,000円) |
企業型確定拠出年金加入者※で他の企業年金がない場合 | 24万円(20,000円) |
・企業型確定拠出年金加入者※で他の企業年金がある場合 ・企業型確定拠出年金以外の企業年金の加入者の場合 ・公務員等 | 14万4,000円(12,000円) R6.12.1から24万円(20,000円) |
※マッチング拠出(企業の掛金に加入者が上乗せする)を実施していないこと
企業型年金
実施主体
企業
加入対象者
企業型年金を実施する企業に勤務する厚生年金保険の被保険者
掛金の拠出
事業主(加入者も拠出できる。ただし事業主の同額以下の金額で合計で拠出限度まで)。
年間拠出限度額(月額) | |
---|---|
①ほかの確定給付型※の年金を実施していない場合 | 66万円(55,000円) |
②確定給付型※の年金を実施している場合 | 33万円(27,500円) |
※2024.12.1から他の制度の掛金を引いた額が拠出限度額となる。
※事業主の拠出に自身で上乗せするマッチング拠出がある。マッチング拠出は事業主拠出額を超えない範囲、かつ、合計額は拠出限度額内であること。
離職転職時のポータビリティ
確定拠出年金は転職先に移換(ポータビリティ)することができる。また、個人型年金加入者はそのまま加入資格を継続する。
一定の脱退要件に該当する場合は脱退一時金を受け取ることもできるが、基本的には60歳まで引き出せない。
運用について
個人型、企業型双方とも加入者の自己責任で運用指図をする。
運用中に発生する運用収益は運用中は課税されずに給付時まで繰り延べられる。
給付について
60歳から受給するためには加入期間が10年必要。一括受取なら退職所得、分割受取なら雑所得となる。
※なお、75歳が受給開始時期の上限であり、75歳になった場合は運営管理機関等の裁定で支給が開始する。
4.中小企業退職金共済(中退共)
中退共は中小企業のための国の退職金制度。
従業員が退職した際には中退共から退職金が直接支払われる。
一定の要件はあるがポータビリティ制度も存在する。
加入条件
従業員数・資本金・出資金が一定金額以下で業種ごとに設定がある。基準を超えた場合は他の制度に移行。
全従業員の加入が必要となる。
掛金
全額事業主負担で全額損金算入。
掛金は1人につき5,000~30,000円(短時間勤務は2,000~4,000も可)
国の助成
新たに加入する事業主は、加入後4カ月目から1年間、掛金月額の2分の1(1人につき上限5,000円)が国から助成される。
退職金の受取方法
一括受取や分割受取、併用受取がある。
5.国民年金基金
国民年金基金は、国民年金加入者の2階部分の役割を担う、第1号被保険者のための年金制度。
いったん加入すると原則任意脱退はできない。掛金の全額が社会保険料控除になる。
将来受け取れる年金額は、加入時点の年齢と給付の型および加入口数によって決まっていて増減はない。
加入対象者
国民年金の第一号被保険者、任意加入被保険者
掛金
- 掛金月額6万8,000円以内で選択。ただし、個人型確定拠出年金にも加入している場合は、その掛金と合わせて6万8,000円以内
- 掛金は、選択した型や口数、年齢、性別で決まる。前納割引制度もある。
年金種類
- 加入は口数制で、年金額や種類を加入者が選択できる。
- 1口目は必ず終身型を選択。2口目以降は終身型と確定型から選択できる。
その他・注意点
- 加入すると、付加保険料を納めることはできない(国民年金基金の中に付加年金の機能も含まれるような感じ)。
- 老齢年金は必ず年金形式で受け取る(一括受取はない)。
6.小規模企業共済
個人事業主が事業を廃止したとき、企業の役員が退職したとき、共済金を支払う、個人事業主や役員のための退職金制度。
国民年金基金や確定拠出年金の個人型年金と重複して加入できる。
加入資格
従業員数が20人以下(卸売業・小売業・サービス業は5人以下)の中小経営者や個人事業主、共同経営者(3人まで)と法人役員も加入できる。
掛金
掛金月額1,000~70,000円まで500円単位で自由に設定が可能。
共済金の受取方法
一括受取や分割受取、併用受取がある。
7.公的年金以外の年金への税金
1.掛金への控除
1.個人が拠出した掛金の場合
- 厚生年金基金・国民年金基金:社会保険料控除
- 確定給付企業年金:生命保険料控除
- 確定拠出年金・小規模企業共済:小規模企業共済等掛金控除
2.法人や個人事業主が拠出した掛金
法人税において全額損金算入される。
所得税においても全額必要経費にできる。
従業員に対しても手当などにはならず、所得として課税もされない。
2.給付への課税
一括受取できる場合
退職所得(退職所得控除対象)として所得税と住民税の課税対象。
分割受取の場合
雑所得(公的年金等控除の適用)として所得税と住民税の課税対象
外部リンク:厚生労働省,スタディング FP講座
それでは過去問を解いてみましょう。2019年5月試験 学科 問8
確定拠出年金に関する次の記述のうち、最も不適切なものはどれか。
- 個人型年金の加入者が国民年金の第3号被保険者である場合、掛金の拠出限度額は年額276,000円である。
- 国民年金の第1号被保険者は、過去に国民年金の保険料未納期間があっても、現在、国民年金の保険料を納付していれば個人型年金に加入することができる。
- 通算加入者等期間を10年以上有する者は、老齢給付金を60歳から受給することができる。
- 企業型年金の個人別管理資産に係る運用の指図は、事業主拠出分は事業主が行い、加入者拠出分は加入者が行う。
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解答
4
運用はどちらも個人が行います!誰にも指図は受けないわ!