労災保険・雇用保険|FP2級Wiki

ここでは労働災害を保障する労災保険と、働けない間の生活を補償する雇用保険について学びます。
労災保険も雇用保険も給付の内容についてしっかり学習していきましょう。

       

1.労働者災害補償保険(労災)

労働者の業務災害または通勤災害に対して必要な保険給付を行う。
災害とは、病気やケガ、障害および死亡(傷病等)をいう。

ごく一部の事業をのぞき、パートでも日雇でも関わらず1人でも雇っている事業所は強制加入となる。
しかし、法人の役員、個人事業主、海外就業者は原則、労災適用を受けられない(特別加入できる場合もある)。

保険料は全額事業主負担となる。保険料は事業種別によって異なる

労災保険の給付

給付種別内容
療養(補償)給付傷病等の治療が受けられる。労災指定病院なら立替えも不要。
一部負担金が無く全額無料で、治るか死ぬまで受けられるのが特徴。
休業(補償)給付労災きっかけで労働できず賃金が受けられない場合に
休業4日目から日額60%相当額が給付されるようになる。
おまけ(じゃあ最初の3日間どうすんの?については会社が支払う義務があるんだってよ)
傷病(補償)年金傷病等が1年6カ月を過ぎても治らない場合に
休業(補償)給付に代わって支給される。
障害(補償)給付傷病等が治癒し、一定の障害が残った場合、
障害等級に応じて支給される。
遺族(補償)給付労働者が死亡した場合に、
生計維持関係の遺族に年金として支給される。
遺族で該当がなければ一時金になる。
葬祭料死亡後に葬祭を行うものに葬祭料が支給される。
労災の保険給付は、業務災害だと「補償給付」、通勤災害だと「給付」と呼びますが、内容は同じです。
       

2.雇用保険

相談窓口公共職業安定所(ハローワーク)
被保険者週20時間以上勤務、短期バイトなどではなく31日以上継続して雇用されること
代表取締役や個人事業主は対象外
保険料保険料は使用者と労働者の共同負担
保険料率は事業種類で異なります
二事業(雇用安定事業と能力開発事業)については全額事業主負担です。

1.基本手当

働く意欲がありながら仕事を失った人に対しては基本手当があります。
65歳未満の人は「基本手当」が対象の日数支払われ、
65歳以上の場合は「高年齢求職者給付金」(後述)という一時金が出ます。

受給資格・離職日以前の2年間で雇用保険に加入していた期間が12カ月以上あること。
・働く意志や能力があり、再就職できるよう努力している65歳未満
所定給付日数基本手当の支給限度日数のこと。
・自己都合退職や定年退職の場合は、
被保険者期間で決まる(最大150日分)

・特定受給資格者(会社都合)や一定の特定理由離職者(親の介護など)は
被保険者期間と離職時の年齢で決まる。(最長330日)
賃金日額原則として最後の6カ月間に支払われた
賃金の総額(臨時的な収入はのぞく)を180で割った額。
基本手当日額賃金日額の50~80%(60~65歳未満は45~80%)
受給期間原則、離職した日の翌日から1年間。受給期間を経過すると、
たとえ給付日数が残っていても支給は打ち止めとなる。
例外として病気妊娠介護を理由に最大4年
60歳以上の定年退職等は最大2年とすることができる。

最初の7日間は待期期間となる。
自己都合の場合はさらに原則2か月(一定の場合3ヵ月)
の給付制限がある。
手続住所地の公共職業安定所に離職票を提出し、求職の申し込みをする。
4週間に一回、失業認定がある。

再就職手当:基本手当の所定給付日数を3分の1以上残して就職し、一定の要件を満たすと支給される。

       

2.高年齢求職者給付金

65歳以上で離職した場合に、一定の要件のもと一時金で支給(30~50日分)されます。
公的年金と併給調整されず全額支給され、条件を満たせば何度でも受け取れます

3.高年齢雇用継続給付

60歳以後に再雇用などで給与が下がる人を救済する制度。

被保険者期間が5年以上あった者の60歳以上65歳到達月までの賃金が、
原則として60歳時点の賃金に比べて75%未満に低下しているときに支給される。
61%未満に低下している場合が最大支給となり各月賃金の15%相当額となる。

高年齢雇用継続基本給付金・基本手当を受給しないで雇用を継続した場合に支給される。
・支給期間は60歳から65歳到達月まで
高年齢再就職給付金・基本手当を受給したが100日以上残して再就職した場合に支給
・支給期間:残200日以上は2年、残100日以上は1年
(いずれも65歳到達で打切)

4.その他の給付

育児休業給付被保険者が1歳(保育所の保育の実施が行われない場合は1歳半又は2歳)未満の子のために
育児休業を取得すると育児休業給付金の支給を受けることができます。
休業開始前2年間にみなし被保険者期間が通算12カ月以上必要で、事前に事業主へ申し出ること。
・介護休業期間中の各1か月毎に休業開始前の1か月当たりの賃金の8割以上の賃金が支払われていないこと
・就業している日数が各支給単位期間(1か月)ごとに10日以下であること。
給付額は休業前賃金日額67%、180日経過後からは50%です。
介護休業給付家族を介護するために休業をした者が、介護休業開始日前2年間に、
みなし被保険者期間が12カ月以上ある場合に一定の要件で支給の対象となります。
家族とは(配偶者、父母、子、祖父母、兄弟姉妹、孫、配偶者の父母で同居や扶養の必要なし)を指します。
支給額は休業前賃金日額の67%相当額。3回までを限度に通算93日分です。
(介護休業が虚(67)しいクミ(93)ちゃんは、3回までが限度)です。すいません。
教育訓練給付<一般教育訓練給付金>
能力開発を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図る目的の制度です。
一般教育訓練:教育訓練に払った費用の2割(上限10万円)
特定一般教育訓練:教育訓練の払った費用の4割(上限20万円)

<専門実践教育訓練給付金>
中長期的なキャリア形成を支援し、雇用の安定と再就職の促進を図る目的の制度です。
教育訓練に払った費用の5割(年間上限40万、4年間上限160万)を支給。
さらに訓練終了後1年以内に就職できた場合は2割上乗せの7割(年間上限56万、4年上限224万)を支給。
       

5.雇用保険と老齢厚生年金の併給調整

基本手当(60歳未満)との調整

雇用保険の基本手当を受ける場合、特別支給の老齢厚生年金は全額支給停止になる。
ただし、繰上支給した老齢基礎年金は支給される。

高年齢雇用継続給付(60歳以上)との調整

高年齢雇用継続基本給付金または高年齢再就職給付金が支給される場合、
支給される給付金はそのまま受取れますが、
厚生年金は在職老齢年金の仕組みによる支給調整の他に、
さらに年金の一部(標準報酬月額の最大6%)支給停止される。

外部リンク:厚労省(雇用保険),スタディング FP講座

       

それでは過去問を解いてみましょう。2020年9月試験 学科 問3

雇用保険の失業等給付に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 特定受給資格者等を除く一般の受給資格者に支給される基本手当の所定給付日数は、被保険者期間が20年以上の場合、180日である。
  2. 高年齢雇用継続基本給付金の支給を受けるためには、一定の一般被保険者に対して支給対象月に支払われた賃金の額が、原則として60歳到達時の賃金月額の85%未満になっていることが必要である。
  3. 雇用保険に係る保険料のうち、失業等給付に係る保険料は、被保険者の賃金総額に事業の種類に応じた雇用保険率を乗じて得た額となり、事業主がその全額を負担する。
  4. 雇用保険の一般被保険者が失業した場合、基本手当を受給するためには、原則として、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して12ヵ月以上あること等の要件を満たす必要がある。

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解答

Wiki技能士

4番の答えが「連続して12ヵ月以上」になっている引っ掛けが出ることもあります。

       

それではもう1問!2021年9月試験 学科 問3

労働者災害補償保険(以下「労災保険」という)に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。

  1. 労災保険の適用を受ける労働者には、雇用形態がアルバイトやパートタイマーである者は含まれない。
  2. 業務上の負傷または疾病が治癒したときに身体に一定の障害が残り、その障害の程度が労働者災害補償保険法に規定する障害等級に該当する場合、障害補償給付が受けられる。
  3. 労災保険の適用事業所の事業主は、その営む事業において使用する労働者数の多寡にかかわらず、労災保険の特別加入の対象となる。
  4. 労災保険の保険料を計算する際に用いる保険料率は、適用事業所の事業の種類による差異はない。

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解答