生命保険の基礎知識|FP2級Wiki
生命保険全般についての一般的な仕組みや制度について学習します。
1.生命保険の分類
保険金の支払事由によって3つに分けられる。
- 死亡保険:定期保険、終身保険など
- 生存保険:個人年金保険など
- 生死混合保険:養老保険など
契約関係者は基本的にこの3つに分けられる。
- 契約者:契約の権利者、保険料負担者
- 被保険者:保障の対象者
- 保険金受取人:保険金を受け取る者
2.保険料の仕組み
保険料の算出は法則に基づいている。
- 大数の法則:過去のデータから性別や年齢別の死亡率を求めて保険料を算出する。統計のような感じ。
- 収支相等の原則:払込保険料総額+運用益=支払保険金総額+経費。収支がイコールになる。
3.保険料・配当金・責任準備金
1.保険料の構成
①保険料算定の基礎率
- 予定死亡率:性別年齢別の死亡者数を予測し、必要額を算出する。(死亡率を高く見込めば高くなる)
- 予定利率:資産運用の収益見込率。高く見込めば安くできる。
- 予定事業費率:事業運営に必要な諸経費の見込率。高く見込めば高くなる。
②保険料の構成
お客様が払う保険料(営業保険料)の内訳は、純保険料(将来の財源)と付加保険料(維持管理費)に分かれる。 さらに純保険料は死亡保険料と生存保険料(満期金など)に分かれる。
2.保険料の比較
- 年間保険料の金額差は、年払い<半年払い<月払い、となり、まとめ払いは、一時払い<全期前納払い、となる。
- 保険種類による金額差は、定期保険<養老保険、となる。
- 加入条件による金額差は、通常の保険<限定告知型保険<無選択型保険、となる。
- 終身保険系の金額差はで一回当たりの保険料単価は、終身払<有期払、となる(払込総額のことではない)。
- 終身保険では女性の方が安く、終身年金などでは女性の方が高い(女性は長生きだから)。
3.配当金
保険会社は保険料から生じる剰余金の一部を配当金として契約者に還元する。保険期間中に受け取る配当金は非課税である。
①剰余金
- 死差益 予定死亡者数<実際の死亡者数
- 利差益 予定運用収入<実際の運用収入
- 費差益 予定事業費<実際の事業費
②配当金による保険種類
- 3利源配当型:死差益、利差益、費差益を配当金として分配する保険タイプ。
- 利差配当型:利差益のみ配当金として分配する保険タイプ。
- 無配当保険:予定基礎率を実際オ数値に近づけて保険料を算出し、剰余金を分配しない保険。
4.責任準備金
純保険料を財源として、将来の保険金・給付金支払の財源として積み立てられたものを責任準備金と言います。
4.責任開始日・責任開始期
保険会社が責任を負う「責任開始日・開始期」は、一般的には 申し込み・告知または診査・第一回目保険料充当金の払込み この3つが完了した日となる。
5.告知義務・契約の解除
- 保険に加入する際に加入者は保険会社が求める事項について告知する(質問応答義務)
- 告知義務違反については保険会社は契約を解除することができる。原因を知ってから1カ月間解除をしなかったとき、または責任開始日から2年(保険法では5年)を経過すると解除できない。
- 募集人から告知妨害、不実告知、不告知による勧誘があった場合は告知義務違反にならない。
- 契約解除に至るまでの間に発生した支払事由は、保険会社は保険金を支払わないが、告知義務違反との間に因果関係がなければ保険会社は保険金を払う(例えば医療保障で、がんを隠して加入したが支払事由は突発的なケガなどの場合)。
6.失効
保険料を払込期月(契約応当日の属する月初から月末)に払い込まなければ、払込み猶予期間になり、さらに延滞して自動振替貸付もできなくなれば保険契約は失効となる。
※払込猶予期間中に保険金の支払事由が発生した場合、支払われる保険金から未払保険料と利息が差し引かれる。
一般的な払込猶予期間
- 月払契約:払込期月の翌月初日から末日
- 半年払・年払:払込期月の翌月初日から翌々月の契約応当日まで
復活:失効しても保険会社の承諾があれば一定期間内のうちに再度告知や診査を行い、失効期間の保険料と利息を払い込むことで契約を復活させることができる。再告知は行うが、保険料は失効前と同額のままとなる。
7.保険料の立替制度・一時的な現金が必要になった場合
- 契約者貸付制度:解約返戻金の一定範囲内から借入をし、契約中に返済する。利息もある。保険金が支払われる際は相殺される。
- 積立配当金の引き出し:蓄積した配当金はいつでも引き出し可能。
- 自動振替貸付制度:払込猶予期間が経過すると自動的に解約返戻金の範囲から保険料を立て替える。生命保険料控除には影響なくしっかり受けられる。保険金が支払われる際は利息も含めて相殺される。
8.保障の見直し
1.契約転換制度
現契約の責任準備金(給付金や保険金のための負債)や積立配当金を転換価格として下取りし、 転換後契約の一部に充てることで転換後の保険料を軽減する制度。 基本的には同一保険会社間の契約で行う。
- 保険金額、保険種類、保険期間、特約内容等を変更できる
- 転換時の年齢や保険料率で計算される
- 再度、告知や診査が必要
- クーリングオフ対象
2.減額
保険金額を下げる制度。下げた分の保険金額は一部解約の扱いとなるので、解約返戻金が発生すれば支払われる。減額した分保障は小さくなるが保険料を抑えることができる。個人年金保険料税制適格特約が付加された個人年金保険の場合は解約返戻金は発生しない。
3.払済保険・延長(定期)保険への変更
払済保険と延長保険は、保険料払込期間の途中で保険料の支払をやめて、その時点での解約返戻金相当額を一時払保険料に充てて保障を継続するもので、告知や診査は不要。その後の保険料を払い込まずに契約を維持できるが、ほとんどの場合、特約は消滅し、払済保険の場合は保険金額も減少する。
外部リンク:㈳生命保険協会,スタディング FP講座
過去問チャレンジ 2022年1月試験 学科 問14
生命保険料控除に関する次の記述のうち、最も適切なものはどれか。なお、各選択肢において、ほかに必要とされる要件等はすべて満たしているものとする。
- 養老保険の月払保険料について、保険料の支払いがなかったため、自動振替貸付により保険料の払込みに充当された金額は、生命保険料控除の対象となる。
- 終身保険の月払保険料のうち、2022年1月に払い込まれた2021年12月分の保険料は、2021年分の生命保険料控除の対象となる。
- 2021年4月に加入した特定(三大)疾病保障定期保険の保険料は、介護医療保険料控除の対象となる。
- 2021年4月に加入した一時払定額個人年金保険の保険料は、個人年金保険料控除の対象となる。
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解答
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この問題は保険料控除の問題なんですが、答えはこのページにあります。
横断的な学習が必要とされるFPならではの問題です。
当サイトでは両方にちゃんと載せてます。